菱餅のおはなし〜沖縄の浜下りと手作り菱餅の楽しみ方〜

更新日:2026.04.26 | 公開日:2026.04.26
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 旧暦の3月3日は沖縄では浜下り(はまうり)という伝統行事の日。今年は4月19日が旧暦3月3日の浜下りの日でした。特に女性はこの浜下りの日には必ず海浜に出かけて、海の水に手足を浸して身を清め、健康を祈願するようにいわれてきました。

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 海に出てみると大潮の干潮時のため、普段だったら海の水に覆われているところがずっと先の方まで陸地になっており、どこまでも歩いていけそうなくらいです。

干潮時のどこまでも歩いていけそうな浜

 そんな女の子の節句でもある浜下りの日には菱餅を食べなさいと、昔近所のおばぁが手作りの菱餅を作ってくれたことをふと懐かしく思い出しました。
 けれども作ってくれたおばぁはもうこの世にはおらず、もう作ってもらうことも、作り方を聞くことも叶いません。なので、なんとか記憶だけを頼りに菱餅を作ってみることにしました。

菱餅の緑の部分にはフーチバを

 菱餅の緑の部分はきっと、今の季節に旺盛に生い茂るフーチバ(ヨモギ)だったのだろうと思ったので、庭のフーチバの柔らかな新芽を摘んできて、すり鉢で擦って、そこに餅粉と砂糖と少量の水を加えてこね、まとめました。

菱餅のピンク色の部分にはローゼルを

 菱餅のピンク色の部分は、おそらくおばぁは食紅を使ったのだろうと思われましたが、我が家には食紅のストックがありません。家中を見渡して冷蔵庫に作り置きしておいたローゼル麹を見つけたので、それをすり鉢で擦ったものに、餅粉を足してこねました。
 菱餅の白い部分は特に何も加えずに、餅粉と砂糖に少量の水を加えてまとめました。

菱餅用の3色のお餅

 果たしてローゼル麹でピンク色の餅の色が出せるかどうか、若干の不安を抱えつつも、緑、白、ピンクの順に三段に餅を重ね、バナナの葉で包んで蒸し器で蒸しました。

餅を重ね、バナナの葉で包んで蒸す

 蒸し上がった三段に重ねた餅は、温かいと包丁で切りにくいと思ったので、葉を開かずに包んだままの状態で一旦冷凍庫で冷やし固めました。
 餅が冷えた頃合いで冷凍庫から取り出し、バナナの皮を丁寧に剥がし、包丁で菱形にカットすると‥

緑、白、ピンクの三色の、美しい菱餅

 心配していたローゼル麹で色付けした餅の部分も、ほのかな優しいピンク色に蒸し上がっており、緑、白、ピンクの三色の、美しい菱餅の出来上がり。

 フーチバの香り豊かな草餅の味に、ローゼル麹の甘塩っぱい、何となく桜餅のような風味が加わった、とても美味しい菱餅でした。
 作り方が全然違うさぁ!と、もしおばぁが生きていたら怒られてしまうかも知れないけれど、それでもあの日おばぁが作ってくれた菱餅をなんとか再現したかったんだ、と言ったらきっと笑って許してくれたことでしょう。
 昔々の浜下りのあの日、手作りの菱餅をわざわざ作って手渡してくれた、おばぁの優しい笑顔を思い出しながら。

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