クワズイモのおはなし〜里芋との見分け方と、島の暮らしでの使われ方〜
連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
あまり日の当たらない日陰の場所を好むクワズイモ。島のあちこちの茂みの中に生息するこちらのクワズイモは、里芋と同じサトイモ科の植物です。ただし「食わず芋」の名前の通り、食べられない芋なのです。というのも、クワズイモにはシュウ酸カルシウムという成分が含まれていて、それが口などの粘膜に触れると、激しい痛みやヒリヒリした炎症、腫れやしびれを起こしてしまうからです。

✔︎ 里芋とよく似たクワズイモの見分け方
里芋とそっくりなのに、食べたら危険なクワズイモ。ですから島で暮らす上では、きちんとクワズイモを見分ける必要があります。
見分け方のポイントのひとつめは葉の部分。クワズイモは葉柄(茎)が、葉の裏の中央付近から突き出していて、葉脈は傘の骨のように、中心から放射状に広がっています。そして葉の表面には艶と光沢があり、つるっとした質感です。また、クワズイモの芋の部分は大きくゴツゴツとした塊状です。

∟ クワズイモ
それに対して里芋は、葉の付け根に切れ込みがあり、葉柄がその葉の切れ込み部分から出ています。そして葉の表面は水を弾くマットな質感です。また、里芋の芋は地中で親芋と子芋が連なっていて、芋は丸い形をしています。
ちなみに我が家の畑では、近所のおじさんからもらったタロイモを育てています。タロイモは里芋と同じで、葉柄が葉の付け根の切り込み部分から出ていて、葉の表面に光沢はなくマットな質感なので、クワズイモとの見分けがつきます。

∟ タロイモ
✔︎ 島の暮らしの中で使われてきたクワズイモ
残念ながら食用にはできないクワズイモですが、島では昔から暮らしの中の様々な場面で、このクワズイモが使われています。
例えば何かお菓子だったりおかずだったりをお裾分けしたい時、クワズイモの葉に包んで渡したりします。クワズイモの葉はとても大きく、また厚みがあってしなやかで丈夫なので、包装紙のように包むのに適しているのです。

また、クワズイモの葉でウブルという水汲みを作ることもあります。村の祭の中に、水の神様に感謝する水恩儀式というものがあるのですが、その際に小川の水を汲むのに、近くに生えているクワズイモの葉を束ねて留め、ウブルを作り、作ったウブルで水を汲んだりします。

里芋とよく似た姿を持ちながら、食べると危険なクワズイモ。口にしてはいけない危険な植物でありながら、一方では包装紙がわりに包んだり、水汲みに用いたりと暮らしの中で大切に役立てられてもいます。島の人々は、それぞれの植物の性質を正しく知り、使い方を見極めながら自然と向き合ってきました。自然とともに安心して生きていくためには、目の前にある植物をよく知るということがやはり大切なのだとしみじみ思います。
#植物と暮らし / #クワズイモ
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