里山で「はぶ茶」づくり

2024.09.16
中里早紀子

連載:里山暮らし日々是好日
クラシライター:中里早紀子さんが自然や季節とともに移ろう田舎での里山暮らしの中で見つけたものたちをお届けします。

高知へ移住してから驚いたことのひとつに「お茶の文化」がある。
例えば、道の駅や産直なんかへ行くと色んな種類のお茶っ葉が売られていたり、喫茶店でコーヒーを飲むと、なぜか最後に必ずお茶が出てきたりする。確か日曜市でもお茶っ葉専門で出店する方がいたと記憶している。

いわゆる緑茶とは違う野草茶も人気で、道の駅や産直でよく見かけるのはこの類だ。
種類は、はぶ、きしめま、ヨモギ、びわの葉、桑の葉、クロモジ、どくだみ、へびいちご、、、などなど。流石に「へびいちご」は二度見した。笑。どれも袋パンパンにこれでもか!と葉っぱが入っていて、高知県民の気前の良さが溢れ出ている。

そんな野草茶、中里家では「はぶ茶」をここ2年ほど秋の始めに栽培・自給している。中里家お得意の「作れるものは作ってみよう精神」だ。夫も私も、はぶ茶独特でどこか懐かしく優しい風味がお気に入り。

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現在、一般的に「はぶ茶」といえば、エビスグサの種子(ケツメイシ/決明子)を焙煎したものを指すらしいが、高知ではハブソウの葉や茎を用いて作られるお茶のことをいう。
実はエビスグサはハブソウの代用品として広まったという話しもあり(種子の収量が多いエビスグサの種子を使うようになった)、本来の「はぶ茶」といえばこのハブソウを使ったものになるそう。


ハブソウはGW頃に種をまき、芽が出たのちに間引き、その後はひとりでにぐんぐんと成長し、8月中旬頃には背丈ほどになる。ちらほらと可愛らしい黄色い花が咲き始めるのは9月の上旬あたり。この頃が収穫どきだ。
 


葉、花、茎、さやの部分も含めて、ざくざくっと収穫していく。


これを、まずは押し切りで数cmほどの大きさにカット。


中里家では、これをひと晩冷凍保存、細胞を壊して揉みやすくするというわけだ。多分高知でもこんなことやっているのはうちだけであろう。


翌日、お茶揉み機で揉む。昨年は手で揉んでいたのだが、これがとっても大変。今年は知り合いの方が持っているお茶揉み機を貸してもらった。スイッチを押すだけでたくさんの量をしっかり揉める、それでいて早い。機械の素晴らしさを痛感した。この機械、1回の動作で3分ほどかかるのだが、その待ち時間にはお茶をしておしゃべりをするという何ともゆったりのどかな場に。帰りには番茶のお土産までいただいてしまい、すっかりお茶づくしの午後となった。


ちなみにこちらは手揉みの様子。意外と力が必要なのだ。


その後、2日ほど天日でしっかり乾燥させて、今年のお茶も無事に出来上がり。


飲むときには、鉄鍋でしっかり香りが出るまで焙じて煮出す。都度焙じるのが一番美味しいことは百も承知だが、毎回そんな時間はない。ある程度まとめて焙じておいてすぐに使えるようにストックしておくのだ。


出来上がった今年のはぶ茶を飲みながら、あぁ秋へと季節がうつろっていくのだなぁと実感する白露の時期
今回も最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。
皆さまもお気に入りのお茶でほっとひと息ついて、のんびりまいりましょう。

 

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