オオタニワタリのおはなし〜島で親しまれるシダの新芽とその食べ方〜
連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
島の森の中や集落の薄暗いところを歩いていると、木の幹や岩の上に、放射状に葉を広げた大きなシダを見かけることがあります。まるで鳥が翼を広げたような、あるいは緑色の大輪が咲いているような姿。これが、島では「フチビ」と呼ばれて親しまれている「オオタニワタリ」という植物です。

オオタニワタリは、木や岩などに根を張って暮らす着生植物。葉が株の中心から四方へ伸び、落ち葉をその中心に受け止めながら、そこにたまった養分や水分を利用して生きています。大きなものになると、人の背丈ほどにもなります。観葉植物として親しまれることもありますが、島では昔から、オオタニワタリの柔らかな新芽を食用にしてきました。そう、島の人にとってオオタニワタリは「食べる植物」なのです。

そして、胞子で広がり繁殖するこのオオタニワタリについては、こんな言い伝えを教えてもらったこともあります。
「幸福な家から(胞子が飛んできて)やってきたオオタニワタリは縁起がいいんだよ。でも逆に不運な家からやってきたオオタニワタリは縁起が悪いんだよ。」

さてそんなオオタニワタリなのですが、食用にするのは、くるりと巻いた新芽の部分です。西表島では、春だけではなく、一年中新芽が出てくるのでいつでも採ることが可能です。

✔︎ オオタニワタリのチャンプル(炒め物)の作り方

新芽をよく洗い、食べやすい長さに切ります。
硬さが気になる場合は、塩をひとつまみ入れた湯で2〜3分ほど茹でて冷水にさらし水気を切るか、オオタニワタリを中心で縦に割るように半分に切り、火が通りやすいようにします。

フライパンに油を熱し、新芽を炒め、塩で味を調えます。(砕いた胡桃などを加えても美味しいです。)
最後にほんの少し醤油を垂らせば出来上がり。
シャキシャキとした歯応えと、少々ぬめりのある独特の食感、クセのない味です。
オオタニワタリの味そのものは淡白なので、油との相性がとてもよく、炒めもののほか、天ぷらやおひたしにしてもおいしくいただけます。

一見ただの大きなシダに見えるかもしれません。けれど、島の人にとっては、美味しい食材。
コンビニもスーパーマーケットもないけれど、すぐそばの森や庭に新鮮な食べものがある。そんな植物との距離の近さこそ、島の暮らしの豊かさなのかもしれません。
#植物と暮らし / #オオタニワタリ / #フチビ
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