新にんじんのおはなし〜葉まで丸ごと味わうにんじん料理〜

更新日:2026.04.24 | 公開日:2026.04.12
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 渡り鳥であるアカショウビンが島にやって来て、キロロロロー♪と声高く鳴く季節がやってきました。我が家の春の畑を見渡すと、冬の寒さを越えて育ったにんじんが、その根に甘みをたっぷり蓄え、葉を青々と大きく広げています。

nijisuzumeさんの庭で育った新にんじん

 新にんじんは、一般的なにんじんよりも早く収穫される、いわば「若いにんじん」です。皮が薄く、柔らかくてみずみずしいので、包丁を入れるとすっと刃が通ります。土を軽く落とすだけで、皮をむかずにそのまま使えるのも魅力のひとつです。葉つきで手に入ることも多く、根はやさしい甘みで、葉は少しほろ苦く、香り豊かです。根と葉、それぞれに違う味わいがあるため、この季節だけの「丸ごと味わう」よろこびがあります。

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✔︎ にんじんの葉は栄養たっぷり

 にんじんの葉は、いわば「緑黄色野菜のかたまり」のような存在です。普段にんじんとしてよく食べる根の部分以上に、にんじんの葉は栄養が豊富だとも言われています。

 にんじんの代表的な栄養素といえばβカロテン。体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を守ったり、免疫力を支える働きがあるβカロテンは、実はにんじんの葉にもたっぷり含まれているそうです。そのほかにもにんじんの葉には、骨や歯を丈夫にしたり、神経の安定を助ける役割のある「カルシウム」、貧血予防や体内の水分バランスの調整に役立つ「鉄分」「カリウム」などのミネラル、体のサビつきを防いだり、疲労回復のサポートをしたり、抗酸化作用を持つ「ビタミンC・E」も含まれているそうです。

栄養たっぷりのにんじんの葉

 そんな栄養価の高いにんじんの葉。もし葉付きの新にんじんが手に入ったならば、ぜひ丸ごと生かしたいもの。というわけで、新にんじんを葉まで丸ごと使った楽しみ方をご紹介します。

✔︎ 新にんじんと葉のかき揚げ

 ほろ苦いにんじんの葉と、香りのある新にんじんを美味しく食べるには、かき揚げがおすすめです。そのままだと少々固さと苦みのあるにんじんの葉も、かき揚げにするとぐっと食べやすくなります。しかも、油と一緒にとることで、βカロテンの吸収がよくなるそうです。

新にんじんと葉のかき揚げ


◻︎新にんじんは細切りに、にんじんの葉は細かく刻んで軽く混ぜ合わせておく

◻︎小麦粉・片栗粉・卵・水・冷水など、お好みの配合と分量で衣をつくる

◻︎薄く衣をまとわせて、高温でさっと揚げる

◻︎揚げたてに塩をパラパラと振りかけて、できあがり


 にんじんの葉がたくさん入っているにも関わらず、苦味を感じさせず、むしろにんじんの甘さが引き立ち、ザクザク食感で美味しくいただけます。

✔︎ 新にんじんと葉のチヂミ

 もうひとつ、気軽に楽しめるのがチヂミです。一本のにんじんには、かなりたくさんのにんじんの葉がついていて、こんなにたくさん使い切れるだろうかと心配になりますが、生地に混ぜ込んで焼くことで、あら不思議!平べったいチヂミに焼き上がるので、思いの外たくさんのにんじんの葉を入れて作ることができます。

新にんじんと葉のチヂミ


◻︎薄力粉と水と塩でチヂミの生地を作る

◻︎細切りの新にんじんと刻んだにんじんの葉を加える

◻︎両面をフライパンでこんがりと焼く

◻︎醤油、胡麻油、酢、コチジャンなどお好みの調味料でつけだれを作って添える


 外側は香ばしく、中はもっちり。にんじんの甘みが生地全体に広がり、葉の香りがアクセントになります。酸っぱいタレや辛いタレ、何種類かのつけだれを用意して違った味わいで楽しんでも。

普段は捨ててしまいがちなにんじんの葉

 普段は捨ててしまいがちなにんじんの葉。けれどそこには、しっかりとした栄養と、野の力が宿っています。少しだけ手をかけて、葉までいただく。それは、食材を無駄なく使うということ以上に、季節の恵みをまるごと受け取る、静かなよろこびでもあると思うのです。

#人参:にんじん(春夏4月〜7月、秋冬10月〜3月)

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