旅のスケッチ〜思い出の景色を気軽に残す方法〜
連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さん(@momo12160627)より、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。
先日、雪解けしたての北海道・帯広へ、行ってきました。
雪がまだらに残る大地に、土が顔を出し、小麦の芽が緑の絨毯になりはじめている様子が、広い春の空の下に続いています。

帯広を訪れるのは、5年以上ぶりです。
今回の旅の目的は、私の祖母のお見舞いでした。
祖母が元気だったころには、かぼちゃで作る芋餅の作り方を教わったり、お菓子屋さんの工場へ連れて行ってもらったり、趣味の踊りのビデオを見せてもらったり。
おっとりとマイペースな、北海道の空気のような祖母でした。
長く病床にいる祖母の顔を一目見て、それと合わせて春の帯広をスケッチ出来たらと思い、山梨から羽田空港へ、羽田から帯広まで飛行機に乗って出かけたのでした。
✔︎ 旅先で思い出をスケッチする
素敵な風景に出会うと、多くの方はスマホで写真に残せたらと思うのではないでしょうか。
もちろん私もその一人です。
この景色の色、風、音、温度、湿度、記憶しておきたくて、何枚もシャッターを押してしまいます。
なのに、後で見返してみると、「あれれ、こうじゃないんだけどな」と思うことがよくあります。
私の写真技術の問題もありますが、目で見えるこの感じをそのまま残すというのは、なかなか難しいものなのだなと感じています。

そこで、最近の私は、時間が許せば写真と一緒に簡単なスケッチをしてみます。
それは、自分用のメモのようなもの。
漫才師さんならネタ帖、短歌を書く人なら拾った言葉の集まり、音楽家なら音出しや音源のような。
この風景を後から思い出せるようにするためのメモが、私のスケッチなのです。

✔︎ 旅のスケッチにおすすめのシンプルな道具
もし、これから始めるなら、こんな道具から始めてみてはいかがでしょうか。
全て揃える必要はありません。
持っているもの、身近に手に入るもので十分です。

・スケッチブックまたはノート
大きいものから小さいものまであります。
持ち歩き易く、野外で使うため、固めの背表紙があるものがいいです。
私は遠出するときやしっかり描きたいときはマルマンのスケッチブックを、
普段持ち歩くメモ用には、ミドリのMDノートブックを愛用しています。
・鉛筆
2B~4Bくらいのもの3本くらい
・練ゴム
柔らかい消しゴムです。
形を自由に変えることができます。
消しカスが出ないのもいいんです。
・色鉛筆
柔らかいものがおすすめです。
よくある12色セットは、風景を描くには鮮やかすぎることがあるので、その間のハーフトーンが10色ほどあるといいです。
土の柔らかな茶色、くすんだ緑色や明るい緑色、空の薄い水色、ベージュやグレーも、あると重ねて微妙な色を再現できます。
・ソフトパステル
粉でできているので、描いた後、指の腹やティッシュで擦って、ふんわりとした表情を描けます。
短時間で色や雰囲気を紙にとどめておきたいときに使っています。
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✔︎ 旅先の風景をスケッチに残す楽しみ
今回惹かれたのは、公園の大きな柏林、宿の近くの針葉樹の野性的な雑木林、畑の向こうに見える赤い屋根の納屋など。
ここではきっとなんてことのない風景かもしれませんが、私にとっては、普段は見ることのできない物語の中の世界のようでした。
特に、この季節の空のグレー、梢の浅い茶色、遠くに見えるぼんやり見える日高山脈の白いグラデーション。
このまま目に焼き付けておきたいほど、美しいなぁと思いました。
住まいを東京から山梨に移してから、山が近く、空が広く、すぐそばの植物の呼吸が聞こえてくるように感じています。
自然と人の営みがうまく重なって景色を作っているようなイメージです。
今回訪れた北海道は、さらにもう一つか二つ分スケールが大きく、人が作ったものより、自然が作ったものが大半を占めています。
自然の懐に、人の暮らしがささやかに寄り添っている感じ。
どちらも同じ、日本のひとつの地方の風景ですが、それぞれに美しく、改めて、大切に記憶したいと思ったのでした。

普段暮らしている町を離れて旅に出ると、出かけた先の土地の風景を、驚きや感動とともに自由な視点で見つめることができます。
スケッチは、そんな思いも一緒に残せる方法です。
上手に描こうとしなくて大丈夫です。
誰かに見せるためではなくて、自分のためのメモだと思えば、気楽に始められます。
あとで眺めると、そのときの色や温度、小さな記憶がふと蘇ってきます。
写真とはまた違った楽しみです。
旅行鞄の片隅に、スケッチブックを連れて行ってみませんか。
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