ピパーチのおはなし

公開日:2025.03.23
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 晴れた暖かな日に、外に出て庭をぐるりと一回り。ふと気がつくと緑色の茂みの中で、目立たずにひっそりと緑色の実を実らせていたピパーチの実が、いつしか赤く色づいていました。

 島コショウとして知られるピパーチは、おそらく八重山では1番ポピュラーな香辛料です。コショウと比べるとピリっとした刺激がまろやかで、八重山そばには欠かせない香辛料のため、八重山そばのお店にはピパーチとコーレーグース(島唐辛子を泡盛に漬け込んで作る辛味調味料)が添えられているのが常です。

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 ピパーチは和名ではヒハツモドキといい、石垣や木などにつるでよじ登って葉を広げ、赤い実をつけます。我が家の庭でも石積みや木の幹を伝い、あちらこちらにピパーチが伸び、広がっています。

 ピパーチは葉もほんのりとスパイシーに香るので、風味をつけたい時に庭から摘んできて、数枚の葉を刻んでパパイヤと炒めたり、炒飯や炒め物に入れたりしてよく使っています。

【365】 柚子ごしょう 

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 赤く色づいたピパーチの実が柔らかく熟してきたので、香辛料として使いやすいように、収穫して実の中にたくさん入っている粒々の種を取り出すことにしました。
 といっても方法は簡単で、よく熟したピパーチの柔らかい実を水を張ったボウルのなかで揉みほぐすようにして、細かい粒々の種をバラバラにして、果肉の部分を流して取り除き、採れた粒々の種をよく乾かすだけです。

 取り出したピパーチの粒々の実は、すりつぶして使うとより香り高くなりますが、マスタードシードのように低温の油で香りを引き出しても良さそうです。

 身近に採れるもので作った香辛料で、日々の暮らしの食卓が、ほんの少し豊かになるというのは嬉しいものです。とはいえそこまでたくさんの量は採れないので、一年中使うなどというわけにはいきませんが、使い切るまでの少しの期間、日常の食事の中で使うことのできる香辛料として、楽しみたいと思います。

 

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