ムーチーのおはなし


連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
旧暦12月8日は、鬼餅(ウニムーチー)の日です。新暦だと、2025年は1月7日がその日に当たりました。寒さが一段と厳しくなるこの時期に、月桃の香りを移した餅(ムーチー)を食べ、子どもの健やかな成長、家族の健康、無病息災を祈願するものとされています。
神奈川から沖縄への移住者である私は、移住当初はムーチーの日なるものの存在すら知らず、ムーチーを食べたことさえなかったのですが、村の友人のお母さんが、「小さい子いるでしょう?どうぞ」とたくさんのムーチーを手にやってきてくれて、子どもと一緒に食べたのが初めてでした。
月桃の葉で包まれたお餅(ムーチー)は、食べてみるとビックリ!今まで味わったことのない、甘く香り高く、不思議なスパイスで味つけられたような、エキゾチックな味わいでした。
その不思議な美味しさに魅せられた私はすぐに、友人のお母さんに、ムーチーのお礼をしに行くとともに、一体何で味付けしたのかを教えてもらいに行きました。すると、砂糖で甘みをつけた以外特に何も加えていない。月桃の葉で包んだだけだと。つまりこのスパイシーな風味は月桃の葉によるものだったのです。
ムーチーには、黒糖ムーチー、紅芋ムーチー、フーチバ(ヨモギ)ムーチー、かぼちゃムーチー、砂糖なしの白ムーチーなどなど様々なバリエーションがあります。
我が家の場合は、庭に月桃とフーチバ(ヨモギ)が生え、紅芋が植えられていることから、フーチバムーチーと紅芋ムーチーを作ることが多いので、こちらの二種類のムーチーの作り方をご紹介します。
フーチバ(ヨモギ)ムーチーの作り方
・フーチバをさっと茹でる
・茹でたフーチバに少量の水を加えてミキサーにかける
・もち粉を加えて混ぜる(耳たぶくらいの硬さに)
・月桃の葉に包んで蒸し器で蒸す
紅芋ムーチーの作り方
・紅芋を茹でて つぶす
・裏漉しした後 きび砂糖を加える
・もち粉を加えてよく混ぜる(耳たぶくらいの硬さに)
・月桃の葉に包んで蒸し器で蒸す
蒸しあがったムーチーの粗熱が取れたら、葉の間に残る水滴を綺麗に拭っておきます。
月桃の葉がたくさんある時は、月桃の葉二枚を使って定番の細長い形で餅を包むと良いのですが、月桃の葉があまりない時や、食べやすい小さなムーチーにしたい時は、1枚の月桃の葉を真ん中の葉脈で半分に切って、三角形の形で包むのがオススメです。
ムーチーは冷蔵庫に入れてしまうと固くなり、美味しくなくなってしまうので、保存は常温で。(月桃の葉は抗菌作用に優れ、この葉で包むことで長持ちします。)
食べる時は、餅を葉から剥がすようにして頂きます。月桃の香りが移った餅(ムーチー)の風味は格別です。機会があったら是非作って味わってみて下さい。
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