必要なものを自分の手でつくる(バッグ編)
連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
必要なものを自分の手でつくる。
これは島で暮らす上で大切にしていることです。そう言うとカッコよく聞こえるかもしれないのですが、実のところは、欲しいものを買うことのできるお店が島にないために、必然的に欲しいものは自分で作ることになる、というだけのことなのです。
とはいえ島の暮らしの中では、自然の素材が身近にあるので気軽に手に入りますし、使わないままの布や着なくなった服なども、引き出しの中に眠っていたりします。自然の素材がたくさん手に入った時や、着ないし使わないのに、気に入っていて手放せない布地や服などがある時は、そのままにしておくのではなく、必要な何かに形を変えることで、生かし、生まれ変わらせることができます。
今回は、身の回りの植物や、使わなくなった布類を用いて作ったバッグたちを紹介します。みなさまが、「必要なものを自分の手でつくる」時のヒントとなれば幸いです。
【島の植物を材料にして作ったバッグ】
左から順に
・アカメガシワの樹皮で編んだ かごバッグ
アカメガシワはパイオニア植物なので、島でも道路脇や空き地などの日当たりの良い場所に真っ先に生えてきます。成長が早い代わりに幹や枝が柔らかです。スマホを入れて外出するのにちょうど良い大きさのバッグです。
・月桃の茎で編んだ かごバッグ
月桃の茎を乾かしたものを網代編みにした後、使い道に困りながらも気に入っていて手放せずにいたアジアの手紡ぎシルクの布を持ち手にしてみました。長財布とスマホを入れてちょっとした買い物の時に。中が巾着状になっているので、実は見た目の2倍の荷物が入ります。
・アダナシで編んだアンツク
アンツクとは「網袋」のことで、沖縄の民芸品です。アダナシ(アダンの根っこの繊維)を縄に綯って編んだ後、 紅露で草木染めをして、田んぼの泥で媒染してみました。薄型なので、読みたい本などを入れて出かける時用に。
∟ 左から順にアカメガシワ、月桃、アダン
【使わなくなったり着なくなったりした布類で作ったバッグ】
・黒シルクのバルーン型バック
黒のシルクのパッチワークスカートを娘にといただいたのですが、娘のお気に召さず、とはいえ大人には小さく、でも生地はしっかりとした絹の良い布地だったので、スカートの膨らみを生かしてバルーン型のバッグに仕立て直しました。内側には、着なくなった黒字に白の水玉のブラウスを用いました。というわけで、実はリバーシブルとなっています。荷物に合わせて膨らむバルーン型なので、食材の買い出しの時に重宝しています。
・白い麻の布バッグ
骨董市で古い麻の着物を購入した際に、おまけしてもらった麻布の端切れ。とはいえあまり大きさもなく、どう活かせば良いか思案していたのですが、上手く繋ぎ合わせることで布バックに仕立てることができました。意外と丈夫で大きいので、書類や本などをたくさん入れて使っています。
素人の手仕事によるものなので、形が歪だったり、編み目がそろっていなかったり、縫い目が美しくなかったりということはあるけれど、それでもいいと思うのです。それより、新しいもの次々と生み出されては、次々と消費されていく今の時代において、もしも身の回りにあるもので必要なものを生み出せるとしたならば、無器用でもいいから、上手くできなくてもいいから、少しでも「自分の手でつくる」ことを始めてみてもらえたら、と願っています。
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