月桃の実のおはなし

2023.09.24
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 沖縄ではサニンとも言われ、古くから島の暮らしに馴染みの深い月桃。その月の桃とも言うべきコロンとした花の蕾は、うりずんの時期のちょうど5月ごろに花開き、やがて緑色の丸い実をつけます。


 夏の暑さが少しずつ和らいできて、涼しさと秋の気配を感じるようになる9月頃、月桃の緑色の丸い実は赤く熟し始めます。

 月桃は、葉もお茶にすることがあるのですが、島では葉よりもこの丸くて赤い実をお茶にする方が好まれます。島のおじい曰く、「月桃の葉のお茶は強いさー。実が上等!」とのこと。何でも葉のお茶は効能が強めで、お腹が緩くなってしまうこともあるからなのだとか。


 月桃の実でお茶づくりをしている私にとって、これからの時期はちょうど収穫の時期。毎年 中秋の名月と、その次の満月の日に、真っ赤に色づいた月桃の実を収穫しています。

 島のおばあに教わったことなのだけれども、満月の頃は、植物の持つエネルギーが上へ上へと向かうので、実などの収穫には満月か、満月に向かう頃が良いそう。逆に新月の頃は、植物の持つエネルギーが下へ下へと向かうので、地中にあるものを収穫するのには、新月か、新月に向かう頃が良いそう。

 というわけで、今年のお茶づくりのための月桃の実の収穫も、満月である中秋の名月の日 (今年の中秋の名月は9月29日) の頃に行う予定です。


 収穫した月桃の実は、ふさから外して綺麗に洗ってから、カラカラになるまで天日干しします。乾き切って、丸い実がパカっと開いて、中の黒い種が顔を覗かせたら、お茶づくりは完了。

 出来上がった月桃の実茶を濃いめに淹れると、月桃の真っ赤な実を思わせるような、赤い色のお茶となります。ポリフェノールを多く含む、月桃香るお茶です。


 さらに濃いめに淹れた月桃の実茶に、牛乳か豆乳を加え、お好みで蜂蜜や きび砂糖を加えると、それはそれは綺麗なピンク色の月桃ラテとなります。

 今年も美味しい月桃の実茶をつくれますように、まずは心を込めて収穫したいと思います。



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