水無月の暮らしごと〜梅肉エキス作り:青梅で作る季節の保存食〜
雨の気配を感じる頃になると、店先には青梅が並び始めます。
この季節になると、梅干しや梅酒、梅シロップなど、さまざまな梅仕事を楽しみますが、今年は久しぶりに梅肉エキスを作りました。

梅肉エキスは、青梅の果汁をじっくり煮詰めて作る昔ながらの保存食です。
手間も時間もかかりますが、その分だけ先人の知恵が詰まった特別な存在でもあります。
数年前に作った梅肉エキスは、冷蔵庫の中で大切に保存してきました。お腹の調子が悪い時や、なんとなく身体を整えたい時にほんの少し口にする、わが家のお守りのような存在です。
その瓶の底が見え始めた頃、「今年は作ろう!」と、久しぶりに青梅と向き合うことにしました。
✔︎ 青梅の季節にだけできる手仕事
梅肉エキス作りに欠かせないのは、何よりも「青梅」であること。

実は以前、少し黄色く色づき始めた梅で挑戦したことがありました。
ところが、やわらかくなった果肉は思うようにすりおろせず、うまく作ることができませんでした。
梅肉エキスに使うのは、青々とした若い梅。絶対の条件です。
これを作れるのは、青梅が青梅でいてくれる束の間の季節だけ。
だからこそ、この時季の梅仕事は特別に感じます。
✔︎ 青梅をすりおろし果汁を絞る
用意したのは青梅1kg。
まずは梅をひとつひとつ丁寧にすりおろしていきます。
爽やかな香りに包まれながらの作業ですが、1kgともなるとなかなかの根気仕事。
それでも、この季節にしかできない手仕事。
数年に一度のお守りを作ると思えば、なかなか進まない作業さえ愛おしく感じます。

すりおろした梅はガーゼで包み、ぎゅっと絞ります。

全部を絞ると、絞りかすと透き通った梅汁に分かれます。

梅の酸に負けないよう、煮詰める鍋は琺瑯鍋や土鍋を使います。
昔から受け継がれてきた梅仕事には、道具選びにもちゃんと理由があります。
そんな先人の知恵に感心しながら、昔ながらの手仕事の奥深さを改めて感じます。
✔︎ じっくり煮詰めて小さなひと瓶に
ここからが本番。
弱火でゆっくりと煮詰めながら、ひたすら鍋と向き合います。

少しでも焦がしてしまえば、それまでの手間も時間も台無しです。
火加減を見ながら木べらを動かし続けること、およそ一時間。

さらさらだった梅汁は次第に濃くなり、とろりとした飴色へ。
やがて鍋底が見えるようになったら出来上がりです。
煮沸した小さな瓶に詰めてみると、その量はわずか。

青梅1kgから、できるのはたったこれだけ。
わずか20gほどです。
木のへら暮らしに馴染む小木工 |
手間と時間と、じっと鍋に向き合う根気の結晶。
季節の恵みがぎゅっと凝縮された、小さなひと瓶です。
そのひと匙を口にした瞬間、思わず顔をしかめるほどの酸っぱさ。
青梅のパワーが一瞬でからだ中を駆け巡ります。
瓶に詰めた後の鍋肌に残ったエキスまで愛おしく大切に。
最後はお湯を注いで溶かし、余すことなく飲み干します。
そして、絞った後の梅のかすは梅ジャムに。
残った種も炊いて、わずかに付いた果肉まで楽しみます。

使い切ること。無駄なくいただくこと。
手間も時間もかかるけれど、そのひと手間さえ季節を味わう愉しみ。
青梅の旬だからこそできる手仕事。

青梅に出会ったら、ぜひ楽しんでみてくださいね。
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