夏の日差しと染める、柿渋染め


連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さん(Instagram)より、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。
表に出ると、ピカッとお日様の日差しが眩しい八月になりました。
子供たちは夏休み。
庭の手入れに出るのは朝のなるべく早いうちに、と思いながら、もたもた朝食をスタートしていたら、庭はすっかり熱気に包まれます。
そんな暑さの中、玄関のシンボル、百日紅が咲き始めました。
暑に負けないような、元気なピンク色です。

✔︎ 夏の強い日差しを活かした、柿渋染めの特徴とは
ここ数年は暑くて参ってしまう夏の日差しですが、強い日差しから染物ができることをご存じでしょうか。柿渋染めは、渋柿の搾った汁を発酵・熟成させたもので、糸や布を染める工法です。媒染の違いによって、茶色から黒に近い焦げ茶色まで染まります。

布を丈夫にしたり、虫を防いだり、防水効果があったりと、とても優秀です。
そして一番の魅力は、太陽の光に当てることで、より深い色になっていくことです。
一般的に植物染めをした布は、日光に当たると徐々に退色していくのですが、この柿渋染めは違っていて、日光によって色が育っていく染め方なのです。
力強く、丈夫、経年変化で育てていく布は、まるで動物の革のような質感にも感じます。
プラスチックやビニールの無い時代、紙に柿渋を塗って番傘にしたり、布に柿渋を塗って、丈夫な袋にしたり、木製建具に塗って家を守ったり、身近な柿から柿渋を作って、その都度塗って直して、家庭の中でも、そんな風に手作りの暮らしがあったんだなと思うと、昔の人々の知恵と工夫に感動します。
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柿渋染めした帆布と皮を合わせたリュック、末っ子の手提げバックと上履き袋。植物染めをしたけれど、退色してきたバッグの染め直し ー 柿渋で色々と染めてきました。
他の植物染めにはない、ぱりっとした質感も、使うほどになじんで、角が擦れて退色する味わいもかっこよくて、頼りない布でも丈夫にしてくれるところも嬉しいです。
夏の日差しも楽しみになりますよ。

来月、家族一同長く住んだ東京を離れることになりました。
土に近い暮らしへ一歩近づいたら、渋柿から柿渋を作ってみたいなと思っています。

それからまだまだ、挑戦してみたいことがいっぱい。
次回からのくらしの図工室は、新天地よりお送りします。
どうぞお付き合いください。
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