あたたかな生成り色、どんぐり染め

2023.10.01
真鍋 百萌

連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さんより、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。

 暑かった夏が終わりに近づき、ようやく心地よい秋風が吹くようになりました。
私の住む東京都国分寺市には、あちらこちらに栗の農園があります。
この時期のお楽しみは、直売所に並ぶ栗です。
ツヤツヤ採れたての栗が買えるのは、ここに住んでいる特権だなぁと思います。
これから涼しくなって、美味しいものやお出かけが楽しい季節がやってきます。
そして、私にとっては秋から冬は手仕事シーズン!
自然の恵みをたくさんいただいて、庭に出て染色や木工、リース作り、服作り、ハーブを収穫したり、庭のリフォームと、やりたいことが目白押しです。

 さて10月は、ベストシーズンのくぬぎのどんぐりを使って、あたたかな生成り色を染める方法をご紹介します。
#暖色日記

 雑木林に行かなくても、街中の公園でも、どんぐりは意外とたくさん拾えたりします。
くぬぎのどんぐりは染液がよく取れるので、染色にとてもおすすめです。
実は丸くて、カクト(どんぐりの帽子)はもじゃもじゃ。
葉は長くギザギザしています。
探してみてください。


(自作の帽子、リネンスカート、綿ハンカチを染めました)

 

 
材料

・くぬぎのどんぐりとカクト 染めたい布の倍の重さ
・布
 ※シルク、ウール→そのまま染められます
  綿、麻→下地染めをします
・焼きミョウバン(薬局やスーパーで買えます) 染めたい布の約10%の重さ

 

下地染めの方法

1、新品の布は一度中性洗剤で洗って乾かし、糊を落とします
2,無調整豆乳1Lをたらいに入れて、布を浸します
  布の内側まで豆乳が行き届くように、何度かたらいの中で押します
  ひたひたに浸かるように、豆乳が足りなければ、水を足してもよいです
3,洗わずに洗濯機で脱水し、干します

 

道具

・どんぐりが入る鍋 1つ
・布が泳ぐサイズの鍋やたらい 2つ
・ゴム手袋
・漉し布(さらしなど)

 

作り方

1、どんぐりは、拾ったらざぶんと軽く水洗いして、泥を落とします


2,染める日の前の晩、どんぐりをバケツなどに入れて水に浸しておきます

3,浸した水が茶色くなっていることを確認して、浸していた水ごと鍋にあけます
  20分ほど火にかけて1番液を作ります


4、大きめの鍋やたらいに漉し布を紐などで縛って固定して、一番染液を漉します。


5,同じ要領で、もう一度先ほどのどんぐりを新しい水を入れた鍋で煮て、2番染液を取り、同様に3番染液を取って4に合わせます

6,布が泳ぐくらいの染液が取れたらOKです

7,別の鍋にお湯を沸かして、焼きミョウバンを入れます
  たらいを使う場合は、ミョウバンが溶けたら、たらいにあけておきます
  これが、アルミ媒染液です

8,染めたい布は、一度濡らして絞ります
  アルミ媒染液→どんぐり染液→アルミ媒染液→どんぐり染液→アルミ媒染液
  と順に、浸して回して絞るを繰り返します
  徐々に色が入っていきます
  好みの色になったら、最後はアルミ媒染液で終えて、よく水ですすぎ、乾かします


自然からいただく色は、うつろいやすく、そのままでは布に定着しません。
媒染という作業が必要です。
染めてからも、日差しによって退色しますし、色移りもあるかもしれません。
既製品のように、ムラなく染めるのもコツが要ります。
それでも、使ううちに変化して馴染んでいき、使う人だけの唯一の表情になっていくのが、植物染めの一番の魅力だなぁと思います。
あたたかな生成り色、染めてみてはいかがでしょう。



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