真鍋 百萌
連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さんより、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。
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暑かった夏が終わりに近づき、ようやく心地よい秋風が吹くようになりました。
私の住む東京都国分寺市には、あちらこちらに栗の農園があります。
この時期のお楽しみは、直売所に並ぶ栗です。
ツヤツヤ採れたての栗が買えるのは、ここに住んでいる特権だなぁと思います。
これから涼しくなって、美味しいものやお出かけが楽しい季節がやってきます。
そして、私にとっては秋から冬は手仕事シーズン!
自然の恵みをたくさんいただいて、庭に出て染色や木工、リース作り、服作り、ハーブを収穫したり、庭のリフォームと、やりたいことが目白押しです。
さて10月は、ベストシーズンのくぬぎのどんぐりを使って、あたたかな生成り色を染める方法をご紹介します。
∟ 自作の帽子、リネンスカート、綿ハンカチを染めました
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雑木林に行かなくても、街中の公園でも、どんぐりは意外とたくさん拾えたりします。
くぬぎのどんぐりは染液がよく取れるので、染色にとてもおすすめです。
実は丸くて、カクト(どんぐりの帽子)はもじゃもじゃ。
葉は長くギザギザしています。
探してみてください。
《方法》どんぐり染め
材料
・くぬぎのどんぐりとカクト(どんぐりの帽子) 染めたい布の倍の重さ ・布 ※シルク、ウール→そのまま染められます 綿、麻→下地染めをします ・焼きミョウバン(薬局やスーパーで買えます) 染めたい布の約10%の重さ
下地染めの方法
1、新品の布は一度中性洗剤で洗って乾かし、糊を落とします 2、無調整豆乳1Lをたらいに入れて、布を浸します 布の内側まで豆乳が行き届くように、何度かたらいの中で押します ひたひたに浸かるように、豆乳が足りなければ、水を足してもよいです 3、洗わずに洗濯機で脱水し、干します
道具
・どんぐりが入る鍋 1つ ・布が泳ぐサイズの鍋やたらい 2つ ・ゴム手袋 ・漉し布(さらしなど)
手順
1、どんぐりは、拾ったらざぶんと軽く水洗いして、泥を落とします
2、染める日の前の晩、どんぐりをバケツなどに入れて水に浸しておきます
3、浸した水が茶色くなっていることを確認して、浸していた水ごと鍋にあけます 20分ほど火にかけて1番液を作ります
4、大きめの鍋やたらいに漉し布を紐などで縛って固定して、一番染液を漉します。
5、同じ要領で、もう一度先ほどのどんぐりを新しい水を入れた鍋で煮て、2番染液を取り、同様に3番染液を取って4に合わせます
6、布が泳ぐくらいの染液が取れたらOKです
7、別の鍋にお湯を沸かして、焼きミョウバンを入れます たらいを使う場合は、ミョウバンが溶けたら、たらいにあけておきます これが、アルミ媒染液です
8、染めたい布は、一度濡らして絞ります アルミ媒染液→どんぐり染液→アルミ媒染液→どんぐり染液→アルミ媒染液 と順に、浸して回して絞るを繰り返します 徐々に色が入っていきます 好みの色になったら、最後はアルミ媒染液で終えて、よく水ですすぎ、乾かします
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自然からいただく色は、うつろいやすく、そのままでは布に定着しません。
媒染という作業が必要です。
染めてからも、日差しによって退色しますし、色移りもあるかもしれません。
既製品のように、ムラなく染めるのもコツが要ります。
それでも、使ううちに変化して馴染んでいき、使う人だけの唯一の表情になっていくのが、植物染めの一番の魅力だなぁと思います。
あたたかな生成り色、染めてみてはいかがでしょう。

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10月の暮らしや行事を楽しむアイデアや旬の食べ物に関すること(レシピ付き記事も)、11月の準備などの記事をお楽しみください♪
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連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。 染色、絵、木工、家の修繕などをしています。「自然のものから暮らしのもの作り」をテーマに 東京都国分寺市にて、古い自宅を改装した小さな造形教室「ゆずの木アトリエ」を開いています。