藍のたたき染め

2024.08.04
真鍋 百萌

連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さんより、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。

いよいよ8月ですね。
連日厳しい暑さです。
40度を超える日がこんなにもあちこちで続くとは。
気候変動を、誰しも感じずにはいられないと思います。
メディアでは、異常気象と同時に、その原因や、私たちにできる対策まで伝えてほしいと願っています。

かくいう私も、暑さで体力が落ちていたのか体調を崩し、生まれて初めての入院生活を送ることになってしまいました。
まさか自分がと思いつつ、誰しもに起こり得ることだと感じました。
皆様もどうぞ、お大事に過ごしてください。
便利な暮らしと引き換えに失うものは大きいです。


東京郊外の、自宅の庭の近況です。
家の裏の農園が縮小されることになって、たくさん植えられていた大きな木が切られました。
現在は家の裏は空き地のような状態なのですが、木陰が無くなり、日当たりがとても良くなりました。
日当たりが良いというのは聞こえは良いですが、夏の熱気はとてつもないです。
今まで、家のすぐ裏の森のような木々や草の恩恵を受けていたことに気づきました。
それと引き換えに、今年は自宅で大きく育ったミモザとユーカリ、杏の木の木陰には、助けられています。
3人の子どもたちは大きくなって、毎年恒例、庭のビニールプールのリクエストが未だに来ていません。
そうなると、ちょっとさみしい母です。

暑くても元気なのは、プランターで育てている藍たち!

藍には色々と種類があるのですが、庭で育てているのは蓼藍(タデアイ)です。
本州では一般的な、藍染めができる植物です。


とても強い草で、こぼれ種でも発芽しますし、プランターで簡単に育ちます。
本格的な藍色から紺色を染めるには、発酵させて還元させる、「藍建て」という難しい工程が必要ですが、生の葉っぱを使う生葉染めは、家庭でも簡単に行うことができます。
アトリエでは、毎年11月ごろ自家採種した種を、5月ごろに蒔いて育てた藍を使って、たたき初めをします。
エコバッグやTシャツなどに、葉っぱの形をそのまま叩いて染めます。
組み合わせて模様を考えても良いし、葉っぱを切って形を作っても楽しいです。
爽やかな空色になるので、この季節にぴったりです。
手順をご紹介します。

 


藍のたたき染め



材料

・藍の葉
・染めたい布(綿、麻、シルク、ウールなどの天然繊維のもので、厚みや凹凸の少ないもの)



道具

・調理用保存袋 中くらいを一枚(はさみで切って2枚に開いておく)
・トンカチ
・まな板



作り方

①藍の葉は染める直前に切って瓶に挿します。
できれば水揚げが良い午前中の早めの時間がいいです。
プランターで育てている場合は、そのまま室内に持ち込んで、その都度切るのが一番です。

②葉っぱを布の上に置いてみて、レイアウトが決まったら、まな板、保存袋、布、保存袋の順に重ねて、トンカチで叩きます。
コツは、ずれないように真上から叩くこと、なるべく水分を含んだ緑色の濃い葉っぱを選ぶことです。


③染め終わったら、一度水洗いして、付いた葉や、余分な染液を落とします。

④石鹸水で洗ってすすぎます。
緑色だった葉の形が、青みを帯びてきます。

 

 

保存袋で挟むことで、藍の汁が無駄なく布へ染み込みます。
ラップだと、叩いているうちに破けてしまうことがあります。
お子さんとやってみる場合は、葉っぱがずれてしまわないように、葉っぱをセロハンテープで布へ固定してから叩いてみてください。


たたき染めは、薬品も使わないですし、使うお水も少しだけ、環境に優しい染めものです。
藍の種は最近ではネットでも販売されていたり、たくさん採れるので育てている方から譲っていただくのもいいと思います。
アトリエでも、冬頃希望の方へお譲りしています。
種まきからじっくり成長を楽しみながら、夏の空のような藍のたたき染めの空色を、ぜひご自宅で楽しんでみてください。
あとしばらく、暑い夏を乗り切りましょう。

 

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