西湖龍井と杏仁豆腐
連載:一茶一菓子
クラシライター:大久保香織さんより、お茶が主役になるようなお菓子とともに、ひっそり行っているメディテーションタイムをお届けします。
待ちに待った、西湖龍井(シーフーロンジン)の季節。
中国緑茶といえば、まずこのお茶を思い浮かべるだろうという、中国を代表するトップブランド茶。
熟練した職人が100度近くまで熱した釜で手のひらを巧みに動かしながら作っていく特別なお茶。
熱々の釜に茶葉を押しあてながら作業を繰り返すことで、平たい龍井茶独特の形になります。
今年の新茶シーズンに香港に行く友人に頼んでお土産に買ってきてもらいました。
この季節ならではのおいしさを共有したく、お茶会を行ったので、今回は、その様子をお伝えします。
お菓子は、杏仁豆腐にします。
お砂糖控えめの杏仁豆腐に、西湖龍井茶を使ったシロップをかけて、上に枇杷を乗せようかなと思います。
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お菓子ができたら、茶器を出してお茶の準備を。茶壺は村井大介さん、茶杯は文祥窯さん、聞香杯の代わりに木村硝子のグラスを選びました。
私は西湖龍井を、産地の浙江省にある西湖を眺めながら飲むのが大好きで、新茶シーズンに何度か旅しに行きました。そちらでは、耐熱ガラスの器に、茶葉ごと入れて、茶葉を眺めながら水菓子といただくことが多かったのですが、お茶会にするには少し寂しい感じがします。
そこで、ガラスの器、水菓子というエッセンスをいただき、本来の西湖龍井の形式とは離れますが、私なりに楽しい会を目指してセッティングしました。
まずは、茶壺にお茶を入れたら、ガラスの茶器に注いで提供します。
そこからは、茶杯にそのままじゃーっとお茶を移動させていただきます。そして、細長くくびれのあるガラスの器に鼻を入れ込むようにして、香りを嗅ぎます。こちらは、香りを聞くための器にします。
すると、西湖龍井特有の爽やかな甘さや、炒った豆のような香りに包まれます。
お茶のシロップをかけて杏仁豆腐も召し上がっていただきました。
こうやって、季節を感じられることって、幸せだなあと感じた日でした。
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