我が家のトマトトースト

2024.04.25

連載:くらしつづり
インスタグラムでは日々のお弁当を紹介されているクラシライター:おべんとうつづりさんより、ここでしか見られない「くらし」 のひとこまをお届けします。

以前、親子3世代でスペインのバルセロナに行く機会がありました。その時、家族全員がはまって、食事のたびに注文していたのものがパン・コン・トマテ(pan con tomate)です。


訳すとパン with トマト、レシピを調べると香ばしく焼いたハード系のパンの断面にトマトをつぶしながら塗り付けて、オリーブオイルと塩で味つけするとあります。


材料も作り方も至ってシンプルですが、口にするとトマトの甘酸っぱさと旨みが食欲をそそり、オリーブオイルとトマトの水分を吸ったクラムはジューシーで食べやすく、ついつい手を伸ばしてしまう美味しさです。

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バルセロナのあるカタルーニャ地方の人々にとっては、朝食、ランチ、おやつにディナーとどんな食卓にも欠かせないものなのだそうです。実際、小さなカフェやバルからレストランまで、多くのお店のメニューで見つけることができました。


そしてお店によってさまざまなスタイルがあり、トマトの赤い色がほんの少しついているだけのものもあれば、刻んだりつぶしたトマトがたっぷりのせてあるもの、にんにくで香りがつけてあるもの、すり下ろしたチーズがぱらりとかけてあるもの、また単独ではなくスペイン風オムレツをのせたものや、さまざまな具材を挟んだサンドウィッチになっているものも見かけました。
 


帰国後、さっそく真似して作ってみましたが、なかなか同じようにならなかったのはトマトに違いがあるからでした。

スペイン料理にはトマトを使うものが多く、料理によってトマトの品種を使い分けるそうで、市場に行くと何種類ものトマトが並んでいました。パン・コン・トマテ用のトマトもあるようです。


日本の水分の多いトマトで作るとどうしても物足りなくなってしまい、かと言って甘みが強く濃厚な味の高級トマトを使っては気軽なスナックになりません。

そこでいろいろ試してみて、パンの上にトマトをのせてからトーストすると、トマトの水分が程よく飛んで味が凝縮することに気がつきました。トマトの甘みが足りない時にはグラニュー糖を少しふりかけるとカラメル化してさらに旨みも増すようです。

ただしトースト前の柔らかいパンにトマトを直に塗り付けるのは難しいので、刻んだりスライスしてのせています。


さらに家族からのもっとトマトをのせて欲しいというリクエストにも応じているうちに、すっかりパン・コン・トマテとは別物になってしまいましたが、我が家のトマトトーストは朝食として、またワインのお供としてもなくてはならない定番メニューとなっています。


何よりこのトマトトーストは焼く前の状態で冷凍しておくことができるので便利です。

これから旬を迎えるトマトを使って、ぜひパン・コン・トマテと共に、我が家のトマトトーストもお試しいただけたら嬉しいです。

 

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