神無月の暮らしごと〜土地とともに、暮らしをこさえる〜
今年も、町に秋祭りの気配が広がり、太鼓の音が響き始めました。
あぁ、今年もこの季節がやってきたんだなぁと、なんだか心が弾みます。

∟ 祭り最終日に出る御座船
そんな秋の風景の中で、ふと「暮らす」ということについて考えてみました。
✔︎ 暮らしの原点は、家ではなく土にある
暮らしを考えるとき、私たちはまず、どんな家に住もうか、どんな住まいにしようかと、家のことから考え始めるような気がします。
けれど、年齢を重ねるにつれ、暮らしの原点は「家」ではなく、その家が建つ「土」にあるのではないかと思うようになりました。
その土地ならではの気候や風土、食べ物、長い時間をかけて育まれてきた文化。
私たちは、家の中だけで暮らしているわけではないのだと気づきます。

✔︎ 「身土不二ということ」
「身土不二(しんどふじ)」
人の身体と、その人が暮らす土地は切り離せないという考え方があります。
本来は食と土地との関わりを語るときによく使われる言葉ですが、私はこの言葉を、暮らしの中でも感じています。

子どもたちが身近な海の恵みに触れ、その恵みを食卓へ。
そんな日々の中にも、土地とともに暮らす楽しみがあります。
同じ土地に暮らす人たちは、たとえ顔も名前も知らなくても、
同じ空を見上げ、同じ風を感じ、
同じ季節の旬のものをいただき、
同じイントネーションで言葉を交わす。
深いお付き合いがなくても、知らず知らずのうちに、同じ土地の季節や時間を分かち合っているのだと思います。
✔︎ 町に響く、秋祭りの太鼓
そんな土地とのつながりを、ひときわ強く感じるのが秋祭り。
太鼓の音が響き渡ると、普段はそれぞれの場所で暮らしている人たちが、どこからともなく集まってきます。
この日のために仕事の休みを取り、準備を重ねていきます。

夜明け前には、いつも車が行き交う国道を止めて、神事が執り行われます。
まだ薄暗い空の下、布団太鼓を囲む男衆(おとこし)さんたち。
そして、その様子を見守る町の人たち。いつもの町が、年に一度、特別な表情を見せる時間です。

太鼓の音を聞くと、なぜだか胸の奥がざわざわして、血が騒ぐような気持ちにもなります。
昔から受け継がれてきた土地の営みが、今もこうして続いている。
その風景の中に自分もいることが、なんだか嬉しくなるのです。
✔︎ 土地とともに、暮らしをこさえる
その土地で採れた旬のものをいただいたり、いつもの道で季節の移ろいを見つけたり、祭りの太鼓に耳を傾けたり。
そんな何気ない日々の中にも、この土地で暮らす楽しみがたくさんあります。
暮らしをこさえるということは、家の中を整えることだけではなく、その土地の風土を知り、季節を感じ、そこに流れる時間を大切にすることでもあるのかもしれません。
小さな気づきを重ねながら、これからも自分らしい暮らしをこさえていきたいと思います。
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