アカメガシワのおはなし〜沖縄の地で息づく、薬草と手仕事の知恵〜

公開日:2025.11.09
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 鳥が運んできたのか、風が運んできたのか。一体どこからやってきたのか、さっぱりわからないのですが、我が家の庭の、日当たりの良いあちこちの場所にアカメガシワの若木が生えています。

 「赤芽柏」の名の通り、赤っぽい新芽が特徴のアカメガシワは、島ではヤギのエサとなる植物としても知られており、県道沿いではヤギのためにクワ、オオバギ、アカメガシワを刈る人の姿を見かけることがよくあります。

アカメガシワの葉

 ちなみに島には「リュウキュウアカメガシワ」というアカメガシワの亜種も生育していていて、こちらは葉の縁がギザギザしていて、木肌が白っぽいです。

リュウキュウアカメガシワの葉

リュウキュウアカメガシワ

 古くから沖縄ではアカメガシワは胃の薬として知られています。健胃作用・整腸作用にも優れるとのことで、お茶にすると良いと教えてもらったことがあるので、我が家では時々お茶にしています。

アカメガシワのお茶

 お茶にするためには、葉を細かく手でちぎるか、ハサミで細かく切るかして、煮出します。生の葉でももちろん良いのですが、細かくしたものを乾燥して保存しておくと、いつでもお茶にして飲むことができて便利です。

アカメガシワのお茶は比較的クセがなく野草茶の中では飲みやすい味

 味は、ほんの少しだけ苦味があるような気がしますが比較的クセがなく、野草茶の中では飲みやすい味のお茶だと思います。

アカメガシワの若木を刈り取った時は、葉はお茶に、樹皮は剥いでおく

 アカメガシワの若木を刈り取った時は、葉はお茶に、樹皮は剥いでおきます。沖縄の場合は年中暖かいため、冬になってもアカメガシワは葉を落とすことがありません。むしろ沖縄は冬場が雨続きの雨季となるため、樹皮の採取は冬場にした方が瑞々しくて良いようです。
 剥いでおいたアカメガシワの樹皮と真っ白い太枝は、湿気の多い雨季ゆえ、カビが生えぬように常に気を配りながら、よく乾燥させて保存しておきます。

アカメガシワの樹皮

 アカメガシワの太枝は、割と真っ直ぐに伸びたものが多く、軽くて加工しやすくて丈夫なので、我が家では色々なものを掛けておく物干し竿として活用しています。白くて綺麗なところも気に入っています。

アカメガシワの太枝は物干し竿として活用

 また、乾かしておいたアカメガシワの樹皮は、再び水に浸して柔らかくすれば、かごなどを編むことができます
 なので必要に応じてアカメガシワの樹皮を取り出し、樹皮を細く裂いたり、太めに整えたりして編み、手提げカゴやお財布やサコッシュなど、必要な形に編んで楽しんでいます。

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アカメガシワの樹皮で編んだバッグ

 庭のアカメガシワの葉をよく観察してみると、虫食いによって葉がスケルトンになっていました。
 ということは‥美味しいのでは?
 調べてみると、アカメガシワの若い芽や葉は食用になり、天ぷらやお浸しや炒め物にできるそうです。

虫食いによって葉がスケルトンになったアカメガシワ

 今度是非試してみたいと思います。

#植物と暮らし / #アカメガシワ:赤目柏

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