野良着について《シャツ編》〜作業や家事にぴったり、布の裁ち方と作り方〜

公開日:2025.11.02
真鍋 百萌

連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さん(Instagram)より、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。

 山の見える毎日を送るようになってから、朝夕刻々と変わる山なみの色や雲のかかり方を眺める楽しみができました。
山の稜線は気温が高い夏の間はもやっと白く見える時間が長かったのが、ここ数日ひんやりする朝にはキリリと青く、別の表情に見えます。
雨上がりの、雲がボワボワと沸き立つ峰や、夕刻の影で尾瀬が濃く深く見えるのも、面白く見飽きません。

山や土やお天気のことを考える景色

畑はといえば、花のように開いていた白菜の葉が、ここ数日で内側へ包むようにきつく巻き込んでいます。
結球といって、このときに中に青虫が入ったままだと、中の美味しい葉を食べつくされてしまうそうです。
畑の名人のお隣さんからつい先日教わりましたが、すでに結球し始めてしまった我が家の無農薬白菜、どうなるでしょうか。
恐る恐る、中心を覗いてみたり、応援してみたり、収穫を待っています。
もうすっかり、山や土やお天気のことばかり考えるようになりました。

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✔︎ 野良着を手本にした働き者のシャツ

 先月のくらしの図工室で書かせていただいたもんぺですが、とても履き心地が良く、畑の時も、家の時も、動き回るときも、リラックスの時も、気持ちよく履いています。
生地を変えれば、一年中毎日履けるパンツになりそうです。

パンツが出来たら次に欲しいのは、作業や家事や育児にぴったりな、働き者のためのシャツです。
汗をかいても風が抜けていくような適度な余裕と、作業の邪魔にならないよう体に沿う形、肌に当たると気持ちのいい素材のシャツ。
参考にしたのは、やはり戦後より日本各地で着られた野良着です。
さらりとした絣や紬などの木綿地、袖は短め、襟元はきゅっと合わせてあります。
そして一番の注目は、脇の形です。
筒袖と呼ばれる筒形や、もじり袖と呼ばれる脇が広いものなど。
どれも直線裁ちで布を無駄にしない作りなのは、もんぺ同様です。


【作り方】シャツ|野良着を参考にした形と裁ち方のポイント

今回は昔ながらの野良着シャツを参考に、洋服にも合い、毎日着られるようなシンプルなデザインを考えてみました。
適度に体に沿うけれど、脇にゆとりがあって動きやすい形です。

野良着を参考にしたシャツ

シャツの裁ち方

・用尺 木綿や麻の布(幅110cm~)120㎝+α
 これ以外に、1㎝幅の両折れバイアステープ50㎝を使います。
・今回は身長162㎝の私の体にちょうどぴったり合うようにサイズを出しています。
 参考にしていただきながら、微調整をしてください。
 ややゆとりを取るには、身幅を左右それぞれ+2㎝、袖の幅に+2㎝、丈にも+2㎝することをお勧めします。
・首回りの曲線は、お手持ちのシャツなどを参考にサイズを決めてみてください。
・布端の処理は、折り伏せ縫いやジグザグミシンなど、やりやすい方法でどうぞ。

野良着シャツの裁ち方
野良着シャツの裁ち方

シャツの縫い方

野良着シャツの縫い方

1,襟ぐりをバイアステープで始末します。
表から見えないように、内側に縫いつけます。

野良着シャツの縫い方:襟ぐりをバイアステープで始末する

2,前身ごろの両端を三つ折りで始末します。
今回は7㎜ほどの三つ折りにしました。

野良着シャツの縫い方:前身ごろの両端を三つ折りで始末する

3,身頃に袖を付けます。

4,脇のマチを付けます。

野良着シャツの縫い方:脇のマチを付ける

5,前身頃と後見頃の脇下を縫い合わせます。

6,左右の袖を筒に縫い合わせます。

野良着シャツの縫い方:左右の袖を筒に縫い合わせる

7,袖の端を三つ折りで始末します。

野良着シャツの縫い方:袖の端を三つ折りで始末する

8,身頃の裾を三つ折りで始末します。

9,一度羽織ってみて、首が通る所に印を入れ、左右の前身ごろの前を縫い合わせます。
  このとき裾まで縫ってしまわず、5㎝~10㎝ほど縫い残すと動きやすい形になります。
  縫い始めと縫い終わりは力がかかるので、何度か返し縫いをしておきます。

野良着シャツの縫い方:左右の前身ごろの前を縫い合わせる


 ふんわりと織られたインドのカディコットンを、手縫いで、始末は折り伏せ縫いで仕上げてみました。
着てみるととても優しい着心地です。
肌に直接触れる衣服として、これから寒くなったら上に重ね着をするのにもいいのではないかと思います。

 昔の野良着を着た女性の写真などから想像して、今を生きる私たちにもしっくりくる野良着シャツを考えてみましたが、地方によって、気候によって、色々な種類のシャツがあることが分かりました。
生活に合う服として、着物から洋服への移り変わり、そして布を含めて、物を大切にして長く使い続けるという感覚を、忘れないでいたいと思います。

野良着シャツを着て畑に立つ

そしてもちろん、折り紙を折るように自由で工作的なシャツは、今見てもとても魅力的だなと感じます。
楽しむ衣服、暮らしの中から生まれる衣服、大切に着続ける衣服、そんなことを考えた時間でした。
秋が深まる季節、少し立ち止まって、今の自分のための衣服について考えてみるのもいいかもしれません。
次回は野良着シリーズ最終回、前掛け編をお送りします。

#縫い物と暮らし / #シャツ

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