野良着について-もんぺ編-

更新日:2025.10.07 | 公開日:2025.10.05
真鍋 百萌

連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さん(Instagram)より、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。

 野良着がほしい
最近の私の関心事はといえば、毎朝の日課になった畑仕事用の服のことなのです。

あちこちで彼岸花が咲き始め、柿の実が色付いてきました。
東京から山梨へ移住して、ひと月。
子供たちも、地元の学校でお友達が出来たり、家族で近所の面白そうなところへ出かけてみたり、新居での暮らしに少しずつ馴染んでいるところです。

山梨のとある日の景色

大家さんの畑の一角には、私たち家族が自由に使わせてもらえる畑があります。
暑さが落ち着いてきたので、いよいよ秋冬野菜の植え付けに挑戦することにしました。
とはいえ初めての畑仕事で右も左も分からぬ状態、お隣さんの畑の様子を観察したり、本を読んだり、ネットで調べたり、やる気だけは満々でスタートしました。

まずはごろごろしている小石を拾って、草の根を取って、肥料を混ぜて、土の下準備をします。
白菜、ブロッコリー、レタスの苗、大根や人参、ハーブの種を蒔きました。
毎朝様子を見に行きますが、ちょっとずつ成長している野菜達を観察することが、こんなにも嬉しいこととは。
空と山を見上げたり、土の香りや手触りを感じ、小さな虫の活動を観察したり、すっかり畑の時間が暮らしの一部になりました。

あわせてチェック

✔︎ 畑仕事に役立つ野良着ともんぺの魅力

 気付くとあっという間に土だらけになる畑仕事ですが、しゃがんだり立ったり動きやすく、汚れても良くて洗いやすく、涼しく、あたたかく、虫や日差しから守ってくれるような、季節に合った服装、つまり野良着について考えはじめました。
土の上にごろんとしたいときに出来るような、そんな衣服ってないものか。

かぼちゃのある畑の景色

現代風の機能的な野良着もいいけれど、やっぱり気になるのは昔の作業着です。
まずは野良着のイメージの代表、もんぺについて。
もんぺとは、農村や、戦時中の活動着として普及したズボン型衣服で、主に女性用のものをもんぺと言うそうです。
他にも、昔から着られていた農作業着である猿袴(サッパカマ)、カルサン、たっつけ、など、もんぺの仲間にも色々な形のものがあります。
着物を着た上から履くので、腰回りはゆったりとしていて動きやすく、あたたかく、洗いやすい木綿、戦後も洋服が普及するまで、もんぺは農作業やふだんの暮らしには、なくてはならないものになりました。
そして何より、もんぺを作る工程では布の無駄が出ないことに驚きです。
少ない鋏で直線裁ち、シンプルで無駄のない形の潔さ。
俄然作ってみたくなりました。


【作り方】もんぺ|無駄のない布の裁ち方と、分かりやすい縫い方

今回ご紹介するのは、前後が同じ形のもんぺです。
どちらを前にしても着られて便利です。

真鍋さんの手作りもんぺ

もんぺの裁ち方

・着物用の反物(幅35cm~40㎝)で作る場合はそのままの幅で作ります。
・洋服地(幅90cm~140cm)で作る場合、今回は反物の幅に切って作りました。
・布の長さは、それぞれ体に合わせて、腰からくるぶしくらいまでの長さに縫い代(+10㎝あれば十分)を足します。
・布端の処理は、折り伏せ縫いや、ジグザグミシンなど、やりやすい方法でどうぞ。

前後が同じ形のもんぺの裁ち方

もんぺの縫い方

1,前ズボン、後ろズボンの股上を縫い合わせます。

2,マチをひし形に縫い合わせます。

もんぺの縫い方:前ズボン・後ろズボンの股上、また、マチをひし形にそれぞれ縫い合わせる

3,前ズボンにマチを縫いつけます。

もんぺの縫い方:前ズボンにマチを縫いつける

4,後ろズボンにマチを縫いつけます。

もんぺの縫い方:後ろズボンにマチを縫いつける

5,ズボンの左右の端を縫い合わせます。

6,ウエストを3cmくらいの三つ折りにして縫い、ゴムを通します。

7,履いてみて、ちょうどよい長さに裾を三つ折りにして縫います。

もんぺの縫い方:ウエストと裾を縫う


なるほどなるほど!
早速できたてほやほやのもんぺを履いて畑へ。
動きやすくて気持ちいいです。
ずいぶん前にいただいた、お気に入りのファブリック用の赤い布でしたが、もんぺにしてみたらとってもかわいいではないですか。

お気に入りの布で作ったもんぺ

パンパンと土を払って、そのままお買い物にも行けそうです。
着物を着ていた女性たちが、もんぺを履いて軽やかにスキップしている風景が浮かびました。
きっと現代の忙しい女性たちにもしっくりくるのではないかと思っています。
お家に眠っている思い出の着物をほどいてもいいし、とっておきの布から作ってもいいかもしれません。

今回は、野良着の「もんぺ編」。
もんぺとひとくちに言っても様々な裁ち方、縫い方があることが分かりました。
ぜひご自身に合った形や縫い方を探してみて下さい。
(来月以降は、「シャツ編」や「前掛け編」をお届けできればと思っています。)
もんぺを履いて、気持ちのいい季節のはじまりです。

#縫い物と暮らし / #野良着

10月の読みもの

10月の暮らしや行事を楽しむアイデアや旬の食べ物に関すること(レシピ付き記事も)、11月の準備などの記事をお楽しみください♪

≪ 9月一覧11月 ≫



\ RECOMMEND COLLECTION /

おすすめ商品