野良着について-もんぺ編-



連載:くらしの図工室byゆずの木アトリエ
日々のごはんを作るように、暮らしのものを作ったり、直したり。クラシライター:真鍋百萌さん(Instagram)より、「自然のものから暮らしのもの作り」のアイデアをお届けします。
野良着がほしい。
最近の私の関心事はといえば、毎朝の日課になった畑仕事用の服のことなのです。
あちこちで彼岸花が咲き始め、柿の実が色付いてきました。
東京から山梨へ移住して、ひと月。
子供たちも、地元の学校でお友達が出来たり、家族で近所の面白そうなところへ出かけてみたり、新居での暮らしに少しずつ馴染んでいるところです。

大家さんの畑の一角には、私たち家族が自由に使わせてもらえる畑があります。
暑さが落ち着いてきたので、いよいよ秋冬野菜の植え付けに挑戦することにしました。
とはいえ初めての畑仕事で右も左も分からぬ状態、お隣さんの畑の様子を観察したり、本を読んだり、ネットで調べたり、やる気だけは満々でスタートしました。
まずはごろごろしている小石を拾って、草の根を取って、肥料を混ぜて、土の下準備をします。
白菜、ブロッコリー、レタスの苗、大根や人参、ハーブの種を蒔きました。
毎朝様子を見に行きますが、ちょっとずつ成長している野菜達を観察することが、こんなにも嬉しいこととは。
空と山を見上げたり、土の香りや手触りを感じ、小さな虫の活動を観察したり、すっかり畑の時間が暮らしの一部になりました。
✔︎ 畑仕事に役立つ野良着ともんぺの魅力
気付くとあっという間に土だらけになる畑仕事ですが、しゃがんだり立ったり動きやすく、汚れても良くて洗いやすく、涼しく、あたたかく、虫や日差しから守ってくれるような、季節に合った服装、つまり野良着について考えはじめました。
土の上にごろんとしたいときに出来るような、そんな衣服ってないものか。

現代風の機能的な野良着もいいけれど、やっぱり気になるのは昔の作業着です。
まずは野良着のイメージの代表、もんぺについて。
もんぺとは、農村や、戦時中の活動着として普及したズボン型衣服で、主に女性用のものをもんぺと言うそうです。
他にも、昔から着られていた農作業着である猿袴(サッパカマ)、カルサン、たっつけ、など、もんぺの仲間にも色々な形のものがあります。
着物を着た上から履くので、腰回りはゆったりとしていて動きやすく、あたたかく、洗いやすい木綿、戦後も洋服が普及するまで、もんぺは農作業やふだんの暮らしには、なくてはならないものになりました。
そして何より、もんぺを作る工程では布の無駄が出ないことに驚きです。
少ない鋏で直線裁ち、シンプルで無駄のない形の潔さ。
俄然作ってみたくなりました。
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なるほどなるほど!
早速できたてほやほやのもんぺを履いて畑へ。
動きやすくて気持ちいいです。
ずいぶん前にいただいた、お気に入りのファブリック用の赤い布でしたが、もんぺにしてみたらとってもかわいいではないですか。

パンパンと土を払って、そのままお買い物にも行けそうです。
着物を着ていた女性たちが、もんぺを履いて軽やかにスキップしている風景が浮かびました。
きっと現代の忙しい女性たちにもしっくりくるのではないかと思っています。
お家に眠っている思い出の着物をほどいてもいいし、とっておきの布から作ってもいいかもしれません。
今回は、野良着の「もんぺ編」。
もんぺとひとくちに言っても様々な裁ち方、縫い方があることが分かりました。
ぜひご自身に合った形や縫い方を探してみて下さい。
(来月以降は、「シャツ編」や「前掛け編」をお届けできればと思っています。)
もんぺを履いて、気持ちのいい季節のはじまりです。
#縫い物と暮らし / #野良着
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