タブノキのおはなし
連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
我が家の端の森のようになっている場所に自生している木の中に、香りのいい木があり、その木に触れると良い香りがするのでずっと気になっていました。

ある時ひょんなきっかけで、その木の正体がわかりました。その木はお香の原料となるタブノキで、昔はこの島でも採取されていたとのこと。よくよく見渡すと、我が家には何本ものタブノキが自生していました。
とはいえこちらのタブノキは、クスノキ、ヤブニッケイ、シイの木、シロダモなど、似ている樹木が多くて、なかなか見分けることが困難です。

そんなタブノキの私なりの見分け方のポイントは3つ
◻︎枝や葉を折ると良い香りがする
◻︎葉の裏が白っぽい
◻︎葉を千切ると粘着っぽく糸を引く

中でもこの粘着っぽく糸を引くところがタブノキの大きな特徴で、このような粘着性があるために、お香として練った時に粉を繋ぎ止める役目を果たし、お香がうまく形としてまとまるので、お香の原料とされているというわけです。

大きくなったタブノキのうちの一本を、道を広げるにあたって倒すことになったので、倒されたタブノキの皮を剥いでおくことにしました。木の皮というものは、水気のあるうちに剥がないと幹にへばりついてしまい剥がれなくなってしまうので、倒したすぐその日に剥いで、よく乾燥させておきます。

よく乾燥させたタブノキの皮は、グラインダーで細かな粉状にしておき、いつでもタブ粉として使えるようにしておきます。

海辺に生えている浜香の香りが、セージに似ていてとても好きなので、浜香にタブ粉を混ぜてお香を作りました。型を持っておらず手で成型しているため、カタチは少々いびつになりますが、それもご愛嬌。

全て自然のものから作ったお香は、市販のお香のように強く香ることはありませんが、植物由来の香りがとても心地よく、朝起きてヨガやストレッチをする時などにも、こちらのお香を焚いています。

こうやって作れることを知ってからは、最近では市販のお香を買うのは時々にして、なくなりかけたらその都度作るようになりました。時には月桃の乾燥葉を入れてみたりしながら。気分に合わせて好みのお香を作るのは愉しいものです。今度は蓬や薄荷を入れたものも試してみようと思います。
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