ピタンガのおはなし|2025


連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
庭のピタンガの木に真っ赤なピタンガの実が鈴なりに実りました。今年は去年とは比べ物にならないくらい山のようにたくさん実り、鳥たちでさえ食べきれない様子。ピタンガは甘く柔らかに熟し切ると自然にポトリと地面に落ちてしまいます。そうなる前に収穫をと思うのですが、今年は豊作すぎて収穫が間に合わないほど。

最初のうちは手で摘み取るように収穫していたのですが、それでは間に合わないので、ピタンガの木の下に大判の布を広げて、木を揺すって実を落として収穫することにしました。そうすると、あっという間にカゴいっぱいのピタンガを収穫することができました。

ピタンガの果実は甘酸っぱくジューシーで、かなり酸味があるのが特徴です。ビタミンAやC、ポリフェノールなどの抗酸化成分を豊富に含み、栄養価も高いとのことなので積極的に食べたいところですが、とはいえたくさんの量を食べられるものではないため、我が家では絞ってジュースにして冷蔵庫に入れ、いつでも気軽に飲めるようにしています。

ピタンガジュースの作り方は至って簡単。よく熟した柔らかなピタンガの果実を収穫したら、潰れないように優しく水洗いしたあと絞り、ザルなどで漉して果肉と種を取り除くだけです。
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ジュースを絞った後の果肉を用いてジャム作りもしています。こうする方が余分な水分がない分、煮詰める手間が省けるように思います。
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生の果実のまま、ジュース、ジャムにと、せっせと収穫してはいるものの、ピタンガの実るスピードには到底追いつくことができず、気づくとたくさんの実が地面に落ちてしまっています。
ガサッと音がしてよく見ると、木の下にはセマルハコガメがやってきていて、熟れて落ちたピタンガの実にかぶりついてお食事中でした。また、去年落ちた実から芽が出たのでしょう、3センチほどの背の高さのピタンガの苗木も、木陰で密かに育っていました。
食べきれないほどの季節の恵み。人にも鳥にもカメにも虫にも、あらゆる生き物たちに、溢れんばかりに与えてくれる自然からの恵みに、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
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