しめ縄のおはなし

2024.12.29
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 ここ数年は毎年、年末に大掃除を済ませた後、身近な島の植物で縄を綯ってしめ縄飾りを作っています。
 でも実はそれまではずっと長年、しめ縄飾りは買うものと思いこんでいました。なので買い物リストにしめ縄飾りを入れて、お隣の石垣島へお正月の買い出しに出た際に、市販のしめ縄飾りを購入するのが常で、自分で作ることなど考えもしませんでした。


 ところがしめ縄飾りを買ってくるのをうっかり忘れてしまった年がありました。どうしようと思っていたところ、erbの木坂くみ子さん(Instagram@erb.___/今はYouTube「ハーブとアロマの暮らしの動画」もとても人気です)がレモングラスでしめ縄を綯っているのを拝見し、稲藁でなければならないというのが自分の思い込みに過ぎなかったと知りました。そうしてちょうど南国西表島では庭のレモングラスが青々と繁っていたこともあり、彼女に私もレモングラスでしめ縄を綯ってみますとお伝えし、庭のレモングラスと、山の松の葉と、シチカズラ(かに草)で初めてしめ縄飾りを製作してみたのでした。2019年のことです。


 本来であれば昔から稲作がさかんなこの島では、稲藁でしめ縄を綯うのが常なのでしょうけれども、我が家は夫が大工になったタイミングで米作りをやめてしまったのに加え、周りのお米づくりをしている友人から稲藁をもらえる環境ではあるものの、この島では米の収穫が六月と早く、湿度の高いこの島で稲藁をカビさせずに保管しておくことの難易度は高いので、他の植物で作れば良いという発想の転換はありがたいものでした。
 そうして身近なもので作れば良いと知った私は、次の年はレモングラスが細々としか生い茂っていなかったこともあり、同じイネ科のサトウキビの葉でしめ縄を綯いました。


 そのまた次の年はクバの葉でしめ縄を綯いました。イネ科のレモングラスやサトウキビは葉が鋭くて、素手で扱うと手を切ってしまうことがあります。ですがクバの葉はその心配がいらず、柔らかで綯いやすいので、それ以来もっぱらクバの葉を用いてしめ縄飾りを製作するようになりました。


 そしてしめ縄の飾りつけにはシチカズラ(かに草)を添えるようにしています。というのも、こちらのシチカズラは、村の祭の際に大黒柱などの主要な場所に取り付けて、結界を張る役目のある植物だからです。
 シチカズラの他にも松の葉を足して飾りにしたり、苧麻を用いて括ったり、毎年その時々に身近にある植物を用いて、自由にしめ縄飾りを作っています。


 大切なことは、神様に捧げるときの綯い方である左縄に綯ったしめ縄を張ることで、清めた場所を護り、清らかに新しい年を迎えることができるということです。
 そのためにはまずは大掃除をしっかり終わらせること。また、よき日に(クリスマス以降〜29日を避けて30日頃までに)しめ縄飾りを取り付けることです。
 というわけで私は、間に合うように大急ぎで大掃除を終わらせなければなりません!
 みなさま どうぞ良いお年をお迎えください🌿

 

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