連載:折々の一皿
クラシライター:早織さんより、旬を取り入れた、和の要素を感じられる自宅でのお料理やおもてなしについてお届けします。
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お節料理やお雑煮など食卓に上る様々な華やかなお料理でお祝いした新しい年の幕開け。
新年にいただく甘味といわれ思い浮かべるものはお餅という方が多いでしょうか。
焼いたお餅にきな粉やお醤油をまぶしたり、鏡開きを迎えていただくお善哉などがありますが、新年を祝う縁起の良い餅菓子に葩餅(花びら餅)があります。
葩餅は甘く炊いた牛蒡と白味噌餡を挟み、うっすらと透ける桃色が美しい梅の花びらを模した白餅です。
平安時代の宮中で新年に行われていた長寿を願う歯固めの儀式の料理「菱葩」に由来すると言われており、葩餅として老舗和菓子屋川端道喜が市中に出し京都のお正月の定番となったようです。
今回の一皿はお正月の祝菓子、葩餅です。
*材料*
牛蒡の蜜煮 牛蒡:20cm グラニュー糖:75g 水:100ml 米の研ぎ汁:適量
餅生地 上用粉:60g 白玉粉:60g 上白糖:110g 水:210ml 食用色素(ピンク):適量 片栗粉(打ち粉):適量
味噌餡 白餡:160g 白味噌:20g 水:20ml
*作り方*
1. 牛蒡の蜜煮を作る。 牛蒡をよく洗い、10cmの長さに切り、たっぷりの米の研ぎ汁で30分煮る。牛蒡が常に浸かっているよう、研ぎ汁が減ってきたら水を足す。
2. 柔らかくなるまで煮たら、太さを8分割にする。水にグラニュー糖を加え、沸騰したら牛蒡を入れ弱火にする。再度沸騰したら火を止め、クッキングシートで蓋をして一晩置く。
3. 味噌餡を作る。 白餡と水を鍋に入れよく混ぜ、中火にかける。木べらで水っぽさがなくなるまで練り上げる。弱火にして味噌を加えてさらに混ぜ、冷ます。10等分に分け、俵状に形成しておく。
4. 餅生地を作る。 ボウルに白玉粉だけを入れ、水を少しずつ加えてかたまりを潰し、だまにならないようよく混ぜる。しっかり混ざったら、上用粉と上白糖を加えさらに混ぜる。
5. 器に水で濡らし固く絞った布巾を敷き、4を流し入れ、蒸し器で20分程蒸す。蒸しあがったら生地の内側まで粉っぽさがないことを確認する。
6. 蒸している間にガーゼなどの布に片栗粉を入れ包んだものを作っておくと、最小限の片栗粉をまぶすことが出来ます。
7. 内側に霧吹きし、濡らしておいたボウルに5を移す。熱いうちに木べらで生地をこねる。桃色の餅用に80g程取り分けておく。
8. 白い餅に薄く片栗粉をふるい、細長く形成後それぞれ10等分にする。出来るだけ熱いうちに白い餅を10cm×8cm程度の楕円状に麺棒で伸ばす。(冷めてからだと固くなり滑らかに伸びないので注意。ベタつく場合は適宜片栗粉をまぶす。)
9. 食用色素に数滴の水を混ぜたものを6で取り分けておいた生地に様子を見ながら加え、出来上がりの色より少し濃く着色する。ムラがなくなるようよく練る。
10. 9の生地を10等分し、ひとまわり小さな楕円状に麺棒で伸ばす。
11. 余分な片栗粉を刷毛で払い、着色した餅の片面に牛蒡の蜜を塗り白い餅に貼るように乗せる。真ん中より少し下側に蜜を切った牛蒡を置き、その上に俵状の味噌餡を置く。奥から手前にかぶせるように折り畳み、完成。
※ 餅生地を丸く形成する際に滑らかな面を広げ、裏側で絞るように丸めることで片面が綺麗に仕上がります。綺麗な面が外側に見えるよう下側して置き、上に着色した餅や牛蒡、味噌餡を重ねていってください。
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我が家ではお雑煮にも使う京都山利の白味噌を使用しています。塩分控えめで優しいお味で毎年お世話になっています。
上記の分量は少し味噌味が弱いものです。
お家で作るとお餅の柔らかさや味噌味の強さなどを調節できるので、ぜひ自分好みの葩餅を作ってみてください。
最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
連載:折々の一皿
香川県出身、一児の母。英国での一人暮らしを経て改めて和食の魅力を実感。旬を取り入れた、和の要素を感じられる自宅でのお料理やおもてなしについて綴っていきます。