あんこを炊く時間。
連載:四角いおうちの暮らしごと日記。
クラシライター:川上琴美さんの衣食住、好きなものに囲まれた日々の暮らしをお届けします。
だんだんと寒さが近づき、キッチンで過ごすその時々で湯気がたつ光景を眺めてはほっこりしています。
先日、少し時間ができたのでゆっくりじっくりと時間をかけてあんこを炊きました。
部屋中に広がる小豆のいい匂いに包まれながら、心静かにじっくりと目の前のあんこと向き合っている時間はどこか瞑想をしているような感覚に似ていてとても好きな時間です。
材料も工程もとてもシンプルなのに決して雑には扱えず、つきっきりで灰汁をとり、匂いや音、五感をフルに使ってじっくりと見極めながら煮詰めていきます。
まるで私だけを見てなさい!とあんこから言われているかのようです。笑
レシピ通りにはいかず、火加減や水分量や時間などほとんどが自分の感覚頼みで作っていく。
ごまかしがきかないからこそ美味しく炊けた時は無性に嬉しくて。
心の中で小さくガッツポーズしてしまうほどです。
そんな風に作った手作りのあんこは本当に美味しくて私の大好物です。
ここから一部は小分けにして冷凍保存し、残りはちまちまと数日かけてあんこのおやつを味わうのも密かな楽しみ。
炊いた日のおやつはあんバタートーストにしました。
バターとあんこ、そして熱々のコーヒー。これはもう罪深き組合せです。
他には、我が家の定番おやつとなっている米粉どら焼きや大福、おめざには汁粉にして食べたりしています。息子たちはバニラアイスを添えて食べるのが好きなようで、作ったばかりのあんこはあっという間になくなっていきました。
じっくりと五感を研ぎ澄まして作るあんこは、作る時間も食べる時間もほっと気持ちを落ち着かせてくれる。なんだかバタバタしていた日常も、この時ばかりは時間の流れがゆっくりに感じられます。
もくもくと温かい湯気に包まれながらキッチンで作業するのも秋冬の楽しみですよね。
寒くなってきて家にこもりたい日には、あんこ作りがおすすめですよ。