初夏の香り、実山椒
連載:折々の一皿
クラシライター:早織さんより、旬を取り入れた、和の要素を感じられる自宅でのお料理やおもてなしについてお届けします。
爽やかに薫る初夏の風とともに食材も春から夏へ少しずつ変化し、季節の移ろいを感じます。
初夏の楽しみといえば、実山椒しごと。
我が家に既にある山椒の木は花や実をつけません。家で実山椒が収穫できたらなんて素敵だろうと思っていたところ、「実が大きく香りが良い」「花も咲きます」との謳い文句に誘われ、朝倉山椒の苗をお迎えしました。
ところが調べてみたら、鉢植えの場合はなかなか難しいとのこと。あれ…?少しでも実や花がついたら嬉しいなと思っていたけれど、道のりは長そうです。
気長に、いつか実をつけてくれることを願ってお世話をしていきたいと思います。
今回は季節の手仕事、実山椒です。
これからの時期に出回る実山椒。
下処理をして、冷凍保存をすれば一年中楽しむことができます。
まずは軸取り。
丁寧に全ての軸を取るのが良いですが、少し残しつつ硬い軸のみ取るだけでも良いです。
そして鍋に小さじ1の塩を加えたたっぷりのお湯を沸かし、5分程茹でます。
茹でた後はざるにあげ、1.2時間お好みの辛さになるまで水にさらします。
さらし終えたら水気をしっかり取って、下処理は完了です。
醤油漬けや塩漬け、オイル漬けにしたり、ちりめん山椒を作ったり、乾燥させて粉山椒にしたり様々な楽しみ方があります。
今回は完全天日塩を使って山椒塩を仕込みました。
*作り方*
1.
実山椒を乾燥させます。
天日干しや室内干しで乾燥させるのが香りが強く残りおすすめですが、早く乾かしたい場合はフードドライヤーやレンジでも乾燥させることができます。
レンジを使う場合は600W20秒から少しずつ様子を見ながら水分を飛ばしてください。
2.
すり鉢で擦り潰す、またはグラインダーで粉状にします。気になる方は目の細かいざるなどでふるってください。
3.
お好みの割合で塩と合わせます。
私は山椒と塩を2:3の割合で作りました。
手羽先の唐揚げを山椒塩で。
唐揚げや天ぷらなど色々なお料理に使えるので、実山椒を手に入れたらぜひ作ってみてください。
山椒の葉、木の芽を使ったジェノベーゼ風「木の芽ペースト」について平本麻美さんがご紹介されているので、ぜひ合わせてご覧ください。
山椒は葉も花も実も香り高く優しい辛みが癖になります。我が家の山椒の木もどんどん成長し、たくさんの木の芽をつけているので早速作ってみたいと思います。
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最後に少し塩のお話を。
一口に塩と言っても様々な塩があります。塩って岩塩か海塩だけじゃないの?なんでそんなに値段が違うの?と思いませんか。
その違いは製造方法にあります。
海水から化学的に塩化ナトリウムを抽出する方法で作られているものはしょっぱさも強く低価格です。精製塩などがこれにあたり、99%以上が塩化ナトリウムのため、この塩を多く使い続けると高血圧を招く危険が高まります。
天日塩とは天日干しや天日干しの後に平釜で炊く方法で作られたものです。
塩の天日干しは場所をとる上に高温多湿な日本では時間も長くかかります。そのため国内で天日干しのみで仕上げる塩は高価格になります。
科学的なことが悪いというわけではなく、製法によってミネラルの含有率が変わってきます。天日塩には塩化ナトリウムだけでなくマグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれていて、まろやかな味わいです。
血圧を上昇させるナトリウムと血圧の上昇を抑えるカリウムを同時に取れるので高血圧になる危険を抑えられます。
塩を減らして味気ない食事で我慢するのではなく、塩を選んで美味しく健康的に暮らしたいという思いから私は天日塩を使っています。
他にもいくつか製法があるので興味のある方は調べてみてください。