季節を味わう、糠漬け

公開日:2025.08.29
早織

連載:折々の一皿
早織さん(Instagram)より、旬を取り入れた、和の要素を感じられる自宅でのお料理やおもてなしについてお届けします。

強い日差しと熱気に包まれる毎日。
まだまだ暑さが残る中、夜風に触れると秋の匂いがそっと忍び込んでくるようになりました。
これから訪れる「季節の狭間」が糠床を起こすには最も穏やかなときです。

今回は糠床作りについてのお話です。

糠床の中で野菜は少しずつ深い味わいを帯びていきます。春の菜葉、夏の胡瓜、秋の大根、冬の蕪。毎日少しずつ手をかけながら、糠漬けはその時々の旬を映し、我が家の食卓を彩ってくれます。


糠床の作り方と野菜の漬け方・お手入れについて

*材料*

容器:約4L容量のものを使用しています
生糠:2kg
塩:200-250g
水:2L
昆布:適量
唐辛子:適量
鰹節:適量
干し椎茸:適量
実山椒:適量
捨て漬け用の野菜:人参や大根の皮、キャベツの外葉や芯など



*作り方*

1.
水に塩をしっかり溶かしておく。
溶けにくい場合は一度沸騰させ溶かし、完全に冷ましておく。

2.
生糠をお好みで炒る。
今回は⅓程を炒りました。フライパンに入れ、焦げないよう弱火でじっくりと。

生糠は栄養価が高く、乳酸菌が豊富に含まれており自然に発酵させやすいですが、酸化しやすく保存があまり効かないため注意が必要です。
炒り糠は保存が効き、香ばしい風味が特徴です。

3.
冷ました炒り糠と生糠に塩を加えてよく混ぜる。水を300ml程取り分け、残りを数回に分けて加え混ぜる。

4.
全体が均一にしっとりとした状態になるよう全体を混ぜる。

それぞれの糠の水分量が違うため、3で取り分けておいた水を様子を見ながら加える。一掴みし、強く握った時に指の間から少し水分が滲むくらいが良い。

5.
小さく刻んだ昆布、下茹で後にさっと水に晒しあく抜きした実山椒、種を抜いた唐辛子、鰹節を入れ混ぜる。干し椎茸を加える。

6.
捨て漬け野菜を漬ける。
容器に糠→捨て漬け野菜→糠の順に詰めていく。

捨て漬け野菜には癖のない野菜を使う。
キャベツは葉の表面に乳酸菌や発酵に役立つ微生物が豊富についているのでおすすめ。

7.
最後は糠で覆い、上から手で押さえつけ空気を抜き、平らにならす。

容器の側面についた糠は拭き取る。
蓋をし、涼しい場所で保管する。

8.
最初の10日は1日2回よく混ぜ、その後は1日1回混ぜる。
糠床の表面が発酵しやすいため、底からひっくり返すように混ぜることで乳酸菌を全体に分散させ、カビを防ぐ。

捨て漬け野菜は2,3日おきに取り出す。糠を軽く取り除き、水分は絞って糠床に戻す。新しい野菜に入れ替えることを繰り返し、2週間漬ける。
捨て漬け期間が終われば糠床は完成
作り始めてから3週間から1ヶ月程で美味しい糠漬けが出来るようになります。

旬の野菜を漬けて、季節の糠漬けを楽しんでください。



*野菜の下拵え*

生で食べて美味しい野菜はそのまま糠床に漬け、美味しくいただけます。
塩揉みをしてから漬けると早く色良く仕上がります。特に茄子やズッキーニなどのアクのあるものや白菜などの水分の多いものは塩揉みをしてからが良いです。
かぼちゃやごぼうなどの生で食べられない野菜は下茹でしてから漬けます。

大きいものは半分に切って、皮が厚いものは皮を剥いて漬けると早く浸かります。より早く漬けたい場合は横ではなく縦半分に切ってください。



*野菜の漬け方*

野菜同士がくっつかないよう、全体が糠に触れるように入れていく。
野菜を入れたら上から手で押さえつけ空気を抜き、平らにならす。

糠床の状態や気温、野菜の種類や大きさによって漬け時間は変わるので好みに合わせて調整してみてください。



*糠床のお手入れ*

・暑い時期は1日1,2回、寒い時期は2日に1回、上下を返すようかき混ぜてください。
・常温で保管できますが、30度を超えると菌が急激に活発になり雑菌も増えやすくなるため冷蔵庫や涼しい場所に移してください。

匂いや味が悪くなってしまっても根気強く手入れをすればまた美味しい糠床へ戻すことができます。


糠漬けはそのままいただいてももちろん美味しいですが、様々な料理にアレンジできます。
今回は糠漬けで作る和風ラビゴットソースをご紹介します。


【レシピ】糠漬けで作る和風ラビゴットソース

*材料*

お好みの糠漬け:きゅうり、ズッキーニ、トマト、玉ねぎなど
薄口醤油:大さじ1
米油:大さじ1
酢:大さじ1/2
塩:少々



*作り方*

1.
糠漬けを5mm角に切る。

2.
薄口醤油、米油、酢をよく混ぜ合わせ、1の糠漬けを加え、お好みで塩を加え調整する。


フライやカルパッチョ、お肉にも魚にも合わせやすいソースです。糠漬けの酸味とコクで少し違った味わいが楽しめます。ぜひお試しください。

さて、「折々の一皿」は今回が最終回となります。

本連載を通して、季節や日々の出来事に心を寄せる時間をいただけたことに、深く感謝しております。
これからもそれぞれの暮らしの中で、折々の美味しさや喜びに出会えますよう願っております。

これまでお読みいただいた皆様、ありがとうございました。

早織

#糠漬け / #糠床 / #ラビゴットソース

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