連載:くらしつづり
インスタグラムでは日々のお弁当を紹介されているクラシライター:おべんとうつづりさん(Instagram)より、ここでしか見られない「くらし」 のひとこまをお届けします。
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ある年の夏休み、私のベトナム料理のお師匠である友人と伊豆で過ごした時に、彼女が海辺の朝市で買った金目鯛とトマトでスープを作ってくれました。
お出汁やスープストックは使わず、具材をさっと炒めて煮るだけものでしたが、トマトの酸味甘味とヌォックマムの旨みが合わさって豊かなコクと雑味のないスープになり、その美味しさに驚くばかりでした。加えて簡単に作れるところも大きな魅力で、それから我が家の夏の定番になりました。
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このスープの味の決め手はヌォックマムです。
ヌォックマムはフーコック産など、産地が書いてあるものがお薦めです。35などの数字が書いてあるものがありますが(単位はまちまち)これは窒素の含有割合を示していて、数値が大きいほどグルタミン酸=旨み成分が多くなります。数値によって等級分けもされていて、30以上で1番上等な特級となり、日本のお醤油の倍以上の旨み成分が含まれています。この旨み成分のおかげで出汁がなくても味に深みが出るのです。
【レシピ】ベトナム風金目鯛とトマトのスープ|ヌォックマムで旨み引き立つ夏のごちそうレシピ
材料(2人分)
金目鯛 2切 鯛でも サラダ油、米油など 大さじ2 エシャロット 1個 または玉ねぎ1/4個 みじん切り にんにく 1/2片 みじん切り 赤とうがらし 少々 種をとりみじん切り トマト 1個(150g)たて半分にして薄切り 水 500cc ヌォックマム 大さじ1〜2 お酒 大さじ1 砂糖小さじ1 レモン汁 大さじ1 オクラ 4本 セロリ 10cm もやし ひとつかみ 小ねぎの小口切り 適量 ディル、お好みのハーブ みじん切り 適量
作り方
1. オクラは塩をまぶして板ずりする。斜め半分に切る。セロリは皮をむいて繊維をたつよう薄切りにする。もやしはひげ根を取る。
2. 金目鯛は塩をふって10分おく。水分をよく拭き取る。鍋にオイルを熱して強火で魚の表面を焼き固める。取り出しておく。
3. 同じ鍋にエシャロット、にんにくを入れ炒め、トマトのスライスと唐辛子を加える。弱火にしてなめらかになるまで混ぜながら加熱する。
4.水とお酒を加えて沸騰したらオクラ、セロリ、お魚を入れてヌォックマム、砂糖、レモン汁で味をつける。
5.野菜に火が通ったら、最後にもやしを入れて火をとめる。盛り付けて、小ねぎ、ディルを添える。
メモ
・小ねぎはベトナムの市場で買った専用のカッターで細長く切って飾りにしました。
・このスープはベトナム南部でよく食べられているカイン・チュア・カー(魚の酸っぱいスープ)に近いものです。本場では雷魚などの川魚が使われます。またシャキシャキとした歯応えのハスイモの茎(ずいき)も定番の具材ですが、見つからない時には食感の似たセロリを入れています。スープはタマリンドという甘酸っぱい豆の果肉で酸味をつけますが、日本では手に入りにくいので、レモンで代用しています。
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ホーチミンで食べたカイン・チュア・カーに比べるとハノイ出身の友人の作るこのスープは酸味も甘味も控えめですが、滋味深い味わいです。ご飯やビーフンと一緒にいただきます。
ご興味を持っていただければ嬉しいです。

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連載:くらしつづり(Instagram)
食いしん坊が高じて、コルドン・ブルーとリッツ・エスコフィエでフランス料理を学び、JSA認定シニアソムリエも取得。数年前まで自宅でフランス家庭料理の教室を行っていました。