ハイビスカスのおはなし


連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさん(Instagram)より、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
南の島を象徴する花、ハイビスカスの花。そのハイビスカスの花を、島では一年を通して目にすることができます。

ハイビスカスにはたくさんの種類があり、赤だけでなく、ピンク色の花、白い花、黄色い花、オレンジ色の花、色の混ざり合ったグラデーションの花など、いろいろな種類があります。

花の形も一重のもの、二重のもの、八重咲きのものなど、さまざまな種類のハイビスカスがあります。

中でも最も一般的なのが、島で「アカバナー」と呼ばれる真っ赤な一重のハイビスカスで、集落の生垣や、個人宅の生垣、そして集落の比較的古いお墓の周りにも植えられています。

内地からの移住者である私にとってハイビスカスの花は、髪に飾るような南国の華やかな花、というイメージでした。なので移住当初、ハイビスカスの花を束ねて花束を作ろうとしていたことがあったのですが、その様子を見ていた村のおばあに「ハイビスカスはお墓の花だから、人様にプレゼントするような花束にしてはいけない」とすごい剣幕で怒られ、「ハイビスカスの花はお墓の花」という島の感覚に、カルチャーショックを受けたことがありました。きっと内地で言うところの、彼岸花で花束を作るような感覚と同じだったのでしょう。
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そんな赤いハイビスカスの花(アカバナー)ですが、シャンプーの代わりにもできると教わり、一度だけですが試してみたことがあります。
方法は簡単で、赤いハイビスカスの花びらをいくつか摘んできて、すり鉢などで擦ってトロトロにしたものを粗く漉して、シャンプーの代わりに洗髪に使うというもの。トロトロとした手ざわりと、実際には泡は立たないけれど泡立つような感覚がして、ちゃんと髪を洗うことができました。(洗髪のたびに花を摘んで来てトロトロになるまで擦らなければいけないのが手間で、一度きりでやめてしまいましたが。)

一年を通して華やかに花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれる、南の島を象徴するハイビスカス。比較的成長が早く幹も柔らかで、剪定などの手入れもしやすいハイビスカスは、石灰岩や珊瑚を石積みした石垣ほどの防風力はないにせよ、強風から家屋などをやんわりと守る生垣として、屋敷と屋敷との境をやんわりと区切ったり、目隠しするための生垣として重宝される、島の暮らしの中になくてはならない植物です。
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