里山の秋。小さな小さな野菜たち。
連載:里山暮らし日々是好日
クラシライター:中里早紀子さんが自然や季節とともに移ろう田舎での里山暮らしの中で見つけたものたちをお届けします。
わたしは高知県にある海沿いの町「中土佐町・久礼」というところで小さな有機農業を営んでいるのですが、例年10月のこの時期は夏の収穫・片付けを終え畑での収穫はほぼなく、これからの秋冬の収穫に向けて準備をするシーズンとなっています。
最も重要な作業となる土作りをはじめ、作付けをする場所の準備など際限なくやるべきことがある中で、気持ちが高まるのはやはり種播きでしょうか。秋冬シーズンで播く種はおおよそ30種類。収穫時期から逆算をし、気温の変化を見ながら適宜播いていきます。今年は例年に比べてなかなか気温が下がらず、温暖化の影響を大きく感じています。
種は畑に直接播くものや、トレーと言われる小さなセルに撒き苗を作ってから畑へ植え付けをするもの、じゃがいもやにんにくのように種いもを植え付けするものもあります。
今日は種播きから少し経ち、芽が出てきた野菜たちを紹介しようと思います。
普段食卓に並ぶ野菜たちの、始まりの小さな小さな姿です。
まずはこちら。
わたしの一番好きな野菜「白菜」です。ぎゅっと中身の詰まった大きな白菜になり収穫できるのは12月頃。寒さに当たると甘みが増してとっても美味しくなります。たかが白菜、されど白菜。お鍋が今から待ち遠しい中里家です。
次はこちら。
葉っぱの形は、すでにそのもの。そう、セロリです。まだ親指くらいの大きさですが、もう葉っぱの形も香りもセロリ!実は種もセロリの香りで、トレーに播いている時からセロリを感じております。
お次はこちら。
白菜とはまた違った葉っぱの様子ですが同じ結球性のある野菜「キャベツ」です。言われてみると葉っぱの表面の質感がすでにキャベツですよね。
トレーにある野菜、最後はこちら。
食べたことがある方にはすぐ分かる!?ケールです!ケールにもたくさん種類がありますが、これはレッドロシアンという品種。ギザギザの葉っぱと、紫がかった葉脈が特徴です。
畑に播種した定番の野菜たちもいくつかご紹介します。
にんじん、ほうれん草、ごぼう、玉ねぎの順に。
にんじんは、発芽させるのがとても難しく、種を播いてからの水分調整、光のあたり具合などとても気を遣います。もうここまでくれば大丈夫!
ほうれん草はヒユ科の野菜なのですが、実はこのヒユ科の野菜というのは数えるほどしかありません。他にはビーツ、てんさい、スイスチャード、おかひじきなどがあります。
ごぼうは根菜なので葉っぱはあまり見かけないでしょうか。実はこんな形をしています。(ちなみにごぼうはキク科です。春菊、レタスなども。)
玉ねぎは、もう少し大きな苗になったらこの畑からは全て引き抜き、別の畑へ植え替えます。収穫は4月頃。じっくりゆっくり大きくなります。
どれもまだ小さいですが、すでにそれぞれ野菜の特徴を持っていて、見ているだけでもとっても面白いのです。色んな形の野菜がありますが、全ての始まりはひとつの小さな種から。芽を出し葉っぱを広げて大きく成長していく過程は愛らしく、また不思議でなりません。
スーパーなどでは1年中季節を問わず様々な野菜が手に入りとっても便利な反面、野菜本来の旬の魅力や美味しさが見失われているのでは、とふと考えたりもします。
旬を思い浮かべながら、その時々のものを味わう。
日々の暮らしの中に背伸びせずとも感じられる豊かさが、すぐそこにあるような気がしています。
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