クバのおはなし
連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
我が家の庭の敷地の角の道に面した場所に、一本のクバの木が生えています。神様の依代とも言われる神聖なクバですが、我が家の場合は、これも縁だったのでしょうか、ここで暮らし始めた時すでに、クバの木がそこにありました。
そのクバの木は、道に面した場所に生えているために、木が育ち葉が大きくなると道に飛び出るように葉が広がり、道を塞いでしまい車の通行を妨げてしまうのが困りもの。道に飛び出てしまった葉は切り落とすことになるのですが、ある時切り落としたクバの葉を捨てずに生かす方法はないだろうかと思い、島ではどの家にも団扇として身近にある、クバ扇に仕立ててみることにしました。
島ではクバの新芽を使って作られることが多いクバ扇。クバの下の方の葉を使って製作するクバ扇は、仕上がりは硬くなるのですが、むしろそちらの方が風をぐんぐん送ることができて、団扇としては上等でした。そして、このことをきっかけにクバ扇の製作を始めることとなりました。
ただ、クバを扇状に切り取った後には、細い葉がたくさん残ってしまいます。
その細い葉をもうまく活かして何か作れないだろうかと思った時、親しくしている村のおばあの家で、いつも鍋やヤカンを置いて使っているクバの葉の鍋敷の存在を思い出しました。
さっそく「ちょっとだけど貸してね!」と借りてきて見本にしながら、見様見真似で鍋敷きを作ってみたのでした。
それからというもの、クバを刈り取った際にはクバ扇を製作し、残った細いクバの葉からは鍋敷きを作る、という自然なサイクルが生まれました。
そんな、クバの葉の鍋敷づくりなのですが、今回クラシコサエルのワークショップとして、その手技をお伝えできる機会に恵まれました。
いよいよ島の外に出て、おばあやおじいから教わってきたことを、お伝えできることになりました。鍋敷きづくりの手法のみならず、植物のことや島の暮らしのこと、いろいろとお話ししながら製作できたらと考えています
西表紅茶(ローゼル)とバタフライピーを、島のお茶として ご用意する予定です。
良かったら会いに来てくださいな。
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