シュロガヤツリのおはなし

2024.01.28

nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 もとは雑木林だった場所を切り拓いて畑にし、苧麻を植えたり、バナナを植えたり、珈琲の木や、シャカトウなどの果樹を植えたりしている我が家の畑の端っこの方のスペース。
 その場所では、ちょっとでも手入れを怠るとすぐに、傘状の葉っぱを持ち、ヒョロヒョロと細くまっすぐな茎の、背の高い謎の植物が生い茂ってしまい、ほとほと困っていました。しかもその植物は、根茎でどんどん増えてしまうので、根絶やしにするのも大変なのです。


 根茎を掘り起こすのがかなりの労力なので、仕方なくいつも刈るだけ刈って、果樹のマルチにするしかなかった厄介者の植物。しかしある時ふと、この植物のまっすぐに伸びた茎を生かして、何か作れるのではないだろうかと思うに至りました。
 


 そう思い立ってまず 初めに作ってみたのはコースター。長い長い茎なので、それを3本合わせて三つ編みにし、ぐるぐる巻きにして糸で留めてみたところ、なかなか可愛らしいコースターが出来上がりました。


 また、こちらのコースターを製作したことがきっかけで、この植物の名前がシュロガヤツリだということを、教えてもらうことができました。しかもこのシュロガヤツリという植物は、紙の原料として有名な、あのパピルス(カミガヤツリ)の仲間でもあるのだとか。


 次に、シュロガヤツリで縄を綯うことはできないか試してみたところ、乾かした茎そのままでは、少々太めで縄に綯いにくかったものの、細かく裂いたものを撚り合わせてみると、縄に綯いやすいことがわかりました。


 シュロガヤツリを綯った縄を、ぐるぐると巻きながら編んで鍋敷きを製作してみると、稲藁と違って表面がすべすべしているシュロガヤツリの鍋敷きは、藁のように繊維が毛羽立つことがなく、しっかりとした作りの鍋敷きに仕上がりました。


 厄介者だと思っていた身の回りにある植物で、暮らしに必要なものを作れるということ。
それはとても幸せなことだと思うのです。そのために必要なのは 自由な発想。身近にある植物に触れ、その植物との距離が縮まる中で、「あれ?この植物、こんな風に生かせないかな?」と、ふと閃く発想。その感覚をいつでも大切にしたいものです。
 きっと昔の人もそうであったように。

 

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