フーチバのおはなし

2024.01.14
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 沖縄ではヨモギのことをフーチバと呼びます。このフーチバは、内地のヨモギとは種類が違い、ニシヨモギという苦味の少ないヨモギなのだそうです。島では一年中フーチバを採ることができるのですが、ちょうど今の時期はフーチバの新芽が芽生える時期なので、葉も柔らかです。


 柔らかなフーチバの葉を摘んで、毎年1月7日の人日の節句には、春の七草で七草粥を作ります。とはいえ島では内地のような春の七草は手に入らないので、いつも島の七草を摘んできて七草粥をこしらえています。七草は自由に選んで摘むので特に決まっていませんが、葉が柔らかで香り高いフーチバは、美味しいので毎年必ず七草粥に入れています。お正月のご馳走が続き、少々お疲れ気味の胃腸に優しい七草粥となります。


(島の七草 上から時計回りに、オオタニワタリ、ハママーチ、カンダバー、ウイキョウ、ピーフチビ、フーチバ、真ん中はピパーチ)


 沖縄では、イモ畑などの広い畑のほかに、屋敷の横にアタイグヮーという、家庭菜園のような小さな畑を持つことがよくあります。我が家にも台所の勝手口から出てすぐの場所にアタイグヮーがあり、長命草、フェンネル、ローズマリー、ミント、クミスクチン、ハンダマ、などのハーブに加えて、島菜、ニラ、ネギ、イチゴ、そしてフーチバが植えてあります。台所のすぐ近くにあるので、お味噌汁のネギを、刺身のツマの長命草をなどという時に、すぐに採って来ることができてとても便利です。


 ヤギ汁やアバサー汁などのおともにも、フーチバは欠かせません。クセの強い汁物であっても、熱々の汁にフーチバを入れて一緒に食べることで、爽やかな風味が加わり、獣臭さや磯臭さを和らげ、美味しく頂けるのです。


 フーチバはお茶にしても美味しいので、よく色々なハーブなどと合わせて、フレッシュハーブティーにします。(写真はフーチバ、ビワの葉、ジュズダマ、サトウキビ)


 また、栄養素を十分に摂るために、フーチバを青汁茶にしたりもします。

 摘みたてのフーチバをサッとゆがいたら、ハンドミキサーにかけ、サラシで濾したら出来上がり。生の青汁だと飲みにくく、お茶だとフレッシュさに欠けるけれど、この青汁茶だとフレッシュでありながら飲みやすいので気に入っています。柔らかなヨモギが顔を覗かせたら、ぜひ淹れてみて下さい。

 

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