ジュズダマのおはなし

2023.12.24
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 村の田んぼの畦道に生えていたジュズダマを子どもたちと採ってきて、庭の片隅に蒔いたのは、一体何年前のことだったでしょうか。その種がこぼれ落ち、またその種がこぼれ落ちるうちに、いつしかどんどんと広がり、今では庭のあちらこちらにジュズダマが生い茂っています。何とも生命力の強い植物です。


 そんなジュズダマですが、お茶にするととっても美味しいのです。昔近所に住んでいたおばあの家に遊びに行った時、手作りの野草茶を出してくれたのですが、何が入っているの?と急須の中を覗かせてもらうと、そこにはグアバの葉やフーチバの葉とともに、ジュズダマの実と葉も入っていました。


 ジュズダマのお茶は、数珠玉の黒く熟した実だけを使うと思っていた私でしたが、そうではなく、お茶にするにはジュズダマの草の上の方全体を刈り取って使うのだと教わりました。ジュズダマの上の方の部分を刻んで、葉と茎はもちろん、まだ未熟な緑色の実も一緒にお茶に淹れるのだそうです。


 そんな風に、葉と茎と緑の実をお茶にすると習ったジュズダマ茶ですが、もちろん黒く熟した実をお茶にしても、美味しく頂けます。


 収穫したジュズダマをよく焙じてからお茶にすると、香り高く香ばしいお茶となります。焙じる時は、珈琲豆を焙煎する時に使っている陶器製の焙烙(ほうろく)を使用しています。


 焙じたジュズダマは、直火にかけられるポットで、弱火でコトコトと煮出してお茶にします。ジュズダマはハトムギの原種でもあるので、焙じてお茶にすると青臭さも消えて、ハトムギ茶のような香ばしくて美味しいお茶となります。 小さなジュズダマを集め、焙じて、煮出してと、お茶にするまでには手間がかかるものの、身近に採れる植物をお茶にして飲むことができるというのは、とても豊かなことだと思うのです。

 



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