珈琲のおはなし

2023.09.10
nijisuzume

連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。

 亜熱帯の西表島では、珈琲の木が冬場であっても枯れることなく元気に育ちます。我が家にも高さ1メートル以上に育った大きな珈琲の木が数本生えており、初夏になると可憐な白い花をいっぱいに咲かせます。雪景色のようなこの珈琲の花は、わずか二日ほどで散ってしまうため、幻の花とも言われているそうです。


 珈琲の白い花が散ってしまった後は、花の数だけ珈琲の緑色の実が、枝にひしめき合うようにぎっしりと実ります。


 夏になると、緑色だった珈琲の実が少しずつ赤く熟し始めます。放っておくと次々と熟れて、地面に落ちていってしまうので、赤く熟した珈琲の実は、見つけ次第すぐに収穫します。


 コーヒーチェリーとは言い得たもので、珈琲のツヤツヤとした赤い実の粒は、まるでさくらんぼのようです。ちなみに、珈琲豆を取り出した後の、この珈琲の実の外側の赤い果肉の部分をカスカラといい、食感は少々硬いけれど、甘いので食べることができます。またカスカラは、カスカラティーもしくはコーヒーチェリーティーというお茶にもできるそうです。


 カスカラを外した後の珈琲豆は、ぬめりをよく取り洗って乾かしておきます。そしてたくさんたまったら、珈琲豆を包んでいる硬い外皮であるパーチメントを外し、薄皮をむき、珈琲の生豆を取り出します。いつもこの作業は手作業で一つ一つ行なっているのですが、時間と手間と根気とを必要とする、なかなかに大変な作業です。


 そうやって生豆にまではしたものの、さてどうやって焙煎しよう‥と頭を悩ませている中、ふと現地の人がカマドの火で、鉄鍋に生豆をザラザラーっと放り込んで焙煎し、ゴリゴリとすりつぶして細かくしたものに湯を注ぎ、なんとも気楽に手軽に珈琲を淹れている映像を見て、なるほど、堅苦しく考えないでいいのかなと、結局鉄の厚めのフライパンでゆっくりと焙煎することにしました。
 当然多少のムラは出たものの、収穫したて、焙煎したての珈琲豆で淹れた珈琲はというと‥
口の中に広がる香りがすごい!美味しい〜!
 やはりどんな食材でも、調理法や品種はもちろんですが、一番大切なのは鮮度なのだと思います。珈琲も同じです。だって、珈琲の生命を頂いているのですから。

 



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