ゴーヤのおはなし
連載:シチシチムジクイ 島の暮らし
西表島在住のクラシライター:nijisuzumeさんより、自然の移り変わりや植物のサイクルに合わせたものづくり〈シチシチムジクイ〉をお届けします。
例年であれば、島では6月頃からゴーヤの実が実り始め、夏前までたくさん実をつけて楽しませてくれた後、台風の襲来によってゴーヤの時期は終わりとなってしまいます。しかし今年は、台風の直撃を免れたおかげで、8月になった今もまだなお、ゴーヤは元気に新芽を伸ばし、新たなゴーヤの実を実らせてくれています。
我が家ではゴーヤを畑ではなく、雑木林のようになった場所の中の日当たりの良い場所に、木に絡みつくように植えています。ただし、大きな木に絡みつけさせてしまうと、収穫する時に届かなくなってしまうので、背のあまり高くない低木の傍に植えるようにします。そうすることで、ゴーヤはネットを張らずとも、上へ横へと自由自在に葉を広げてゆけます。木の傍に植えると、南国の強い日差しの中にあっても、いつでも適度な日陰と根元の湿り気が得られ、元気に育ちます。8月後半の今でもゴーヤが生き生きと育っているのは、自然栽培ならぬ、野生に近い形で育っているからかもしれません。
そんな今が盛りのゴーヤ。島では炒めてゴーヤチャンプルーにしたり、生のまま薄切りにして水にさらして苦味を取った後、ツナとマヨネーズで和えてサラダにしたりするのが一般的ですが、薄切りにしたゴーヤをかき揚げにしたり、湯がいてお浸しにしても美味しいですし、酢の物にするのもおすすめです。
ゴーヤの酢の物を作る時に、我が家では月桃の花の甘酢漬けを用います。月桃の花の甘酢漬けに塩もみしたゴーヤを加え、しばらく漬け込んだ後、赤ウリやキュウリなどの、その時々に手に入る野菜を加えて一緒に和えるだけで、サッパリとして美味しい、ゴーヤの酢の物が出来上がります。
料理として用いることが一般的なゴーヤ。
けれどそんなゴーヤはゴーヤジュースにもできるよと教えてくれたのは、近所に住んでいたおばあでした。おばあが作ってくれたゴーヤジュースは、ゴーヤの表面の緑色の部分をおろし金ですりおろし、冷水と砂糖を加えたもの。もちろんおばあのように、おろし金でおろしたままでも美味しいのですが、さらしで漉したほうが綺麗な緑色のジュースになるので、私はいつも漉して作ります。
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蒸し暑くて湿気の高い、今の季節にぴったりのゴーヤジュースです。ところでゴーヤジュースは苦くないの?
‥はい苦いです。
でも想像していたほどには苦くはないので驚きます。
ゴーヤがたくさん採れすぎた時、夏バテしそうな時、飲むビタミンとしてゴーヤジュースをぜひどうぞ。