早織
連載:折々の一皿
クラシライター:早織さんより、旬を取り入れた、和の要素を感じられる自宅でのお料理やおもてなしについてお届けします。
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一年中楽しむことができる鯵。
旬は初夏から夏にかけて、まさに今です。
この時期の鯵は少し小さいものの、身が締まり脂が乗っており強い旨みを堪能することができます。
お刺身や塩焼きにしていただくのも良いですが、今回は旬の旨みをさらに凝縮させた鯵の干物の作り方をご紹介いたします。

*材料*
鯵:3尾 酒:200ml 塩:100g 水:700ml
*作り方*
1. まずは下処理をします。 包丁を立てて魚に当て、尾ビレから頭に向けて擦るように鱗を取る。ゼイゴは干物の場合は身が崩れやすくなるので取らなくても良いです。
2. エラ膜を外しエラを取り、お尻から刃を入れ、腹を開いて内臓を掻き出す。血合いに包丁で軽く切れ込みを入れて、流水で洗う。水気を拭き下処理は完了。
3. 次は腹開きにします。 頭を右側になるよう置き、腹から尾にかけて浅く切り、少しずつ進めていき背骨まで切る。
4. 背骨の上で包丁を滑らせ中骨の上側を切る。一気に切るのではなく何度か包丁を滑らせるように切り、背中側の皮を残すようにする。尻尾の先まで切ると綺麗に開きます。
5. 背を下にして立て、力を入れて頭を開く。大きいものは特に硬いので気をつけてください。
頭がついていなくてもいい方はエラを取らずに頭ごと落とし、腹骨や小骨を取り除き身だけを干すことも出来ます。
6. 塩漬けにします。 ボウルかバットに水と酒、塩を混ぜ合わせ、冷やしておく。そこに皮目を上にして鯵を漬け、また冷蔵庫で冷やす。皮目を上にすることで均等に浸かります。
塩分濃度の目安は5-15%です。脂の乗り方によって塩分濃度、漬け時間は変わり、脂が乗っているものほど塩の浸かりは早いです。干し時間を長くしたい場合は塩分を抑えてください。今回は10%の塩水に1時間漬けました。
7. 漬け終えたら水にくぐらせて表面の塩分を落とし、水気を拭き取る。
8. 干し網に重ならないよう身側を上にして並べる。風通しのいい日陰で半日ほど干す。 表面にうっすらと膜が張ったようになり、触ってみてべたつかなくなれば完成。
干し具合はお好みですが、日持ちを重視しなくて良い自宅での干物作りなので、生に近い生干しがおすすめです。
※ 真夏でなければ日向で短時間干すこともあります。お好みでどうぞ。 ※ 魚を捌くことに不安がある方は処理済みの鯵を購入し、3以降をご自宅で試してみてください。
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出来たものは乾燥を防ぐためラップに包み冷蔵庫で4日、冷凍庫で1-2週間保存可能です。

職人さんの手で編まれた金網つじの焼き網はお気に入りの調理道具の一つです。火をじんわりと満遍なく広げ、干物もふっくら柔らかく焼き上げてくれます。
乾燥機や乾燥シートで乾かした市販のものとは違い、旨味がぎゅっと凝縮された仕上がりになるので鯵だけでなく他のお魚でも。自宅で作ると塩分濃度や干し具合を調整できるので、お好みに合わせて干物作りを楽しんでみてください。
連載:折々の一皿
香川県出身、一児の母。英国での一人暮らしを経て改めて和食の魅力を実感。旬を取り入れた、和の要素を感じられる自宅でのお料理やおもてなしについて綴っていきます。