【キッチンで読む美味しい物語】No,1「西洋菓子店プティ・フール」
連載:四角いおうちの暮らしごと日記。
クラシライター:川上琴美さんの衣食住、好きなものに囲まれた日々の暮らしをお届けします。
電車の移動時間、子どもたちの習い事の待ち時間や深夜のひとり時間、隙間時間にちょこちょこ読み進めている物語。
特にキッチンで過ごしている間の煮込み時間やオーブンの焼き上がりまでの時間などなど...料理中に「ふう〜」と丸椅子に腰を掛けて過ごす読書の時間が私のプチ休憩時間です。
中でも、最近では食べ物の描写が多い物語りに取り憑かれており、読んでは”美味しそう〜”とお腹を鳴らし、よだれが出そうになるのを堪えながら(笑)何度も何度も夢中になって読みこんでおります。
レシピ本などと一緒にリビングの一角にお気に入り小説の一部を置いています
今日は、そんな食いしん坊全開な私のお気に入り小説を紹介させてください。
千早茜さんの『西洋菓子店プティ・フール』。
頭の中で繰り広げられる、お菓子を作るときの音や匂い、温度や色、味、そしてお菓子作りをしている時のふんわりとした空気感。
どれも鮮やかに想像できてしまう、スイーツ好きのハートを突き刺してくるような小説です。
章のタイトルは全て洋菓子の名前がつけられており、
物語そのものに甘酸っぱさやほろ苦さが感じられる、そんな洋菓子の味に例えたような人間模様が描かれているのもこの本のお気に入りポイントです。
この本を読んでると、衝動的にお菓子作りがしたくなり、
思わず作ったのが、"苦くて甘い"の代表格であるクラシックプリンでした♪
しかも、ホールで作るというこのうえない背徳感。
これを食べた時の幸福度たるや。
プティ・フールの物語のことを考えながら噛み締めるのでした。
物語から得る食の知識や新たな発見はワクワクするものばかりです。
レシピ本とはまた違う、背景にある人間描写があってこその食の魅力を感じられる。
そういうお話の世界に今どっぷりハマっています。
また時々にはなりますが、こんな風に私がおすすめしたい料理小説や本のことを語らせてください。
気になる一冊になってくれたら嬉しいです。