お正月は「がんばらないお節」

2022.12.31
川上 琴美

連載:四角いおうちの暮らしごと日記。
クラシライター:川上琴美さんの衣食住、好きなものに囲まれた日々の暮らしをお届けします。

一年の始まり、気負わず楽しむ我が家のおせち事情

一年の始まりを清々しく、ゆったりとした気持ちで迎えるためのおせち料理。

大人になり家庭をもってからは、作ってもらう側から作る側になり毎年自分なりのおせち料理を作ってみています。

大切な節目にいただくものだからこそ手間をかけ華やかに仕上げたくなりますが、そこはあくまで気負わずゆったりと。

毎年、「がんばらないお節」を自分の中でのテーマに掲げ、気軽に楽しめる範囲でお節づくりをしています。


定番のおせち料理ほど子どもの箸が進まない現実。。。


黒豆、伊達巻、栗きんとん、昆布巻きなどおせち料理には砂糖を多く使った甘くて濃い味付けが多いのが印象的です。これは本来、三が日は台所に立たずに過ごせるよう保存食として傷みにくく日持ちをさせるためなのだそう。

普段食べ慣れていないおせち料理特有の甘い味付けに、我が家の子どもたちにとってはまだ抵抗があるようで、意気込んで準備したわりに箸があまり進んでいない。。

その光景を目の当たりにした翌年から、おせち作りはがんばらないと決めたのです。

 

食べたい物だけを食べ切れる量で作る。

家族みんなが好みのお正月料理を囲み、美味しいねと笑いあいながらリラックスした気持ちでお正月を過ごせたらどれだけ幸せな一年の始まりでしょうか。

そんな風に考えながら、伝統や形式にとらわれない我が家なりのちょうど良いオリジナルおせちを作るようにしています。


暮れも押し迫る12月30日。

我が家ではお正月に食べたい食材を求め、この日だけは特別早起きをし、まだ真っ暗な早朝から家族で市場へ買い出しに行くのが毎年の恒例行事となっています。


私にとってはその年最後のイベントで、普段は出向かない場所へのワクワク感とお祭りに参加するときのような気持ちの高まりに、いつもならあまり好きではない食材の買い出し作業もこの日ばかりは思い切り楽しんでいます。

毎年よく買っているものは、蟹やえび、いくらなど子どもたちも一緒に食べれるような海鮮やふっくら美味しい名物の厚焼き玉子や蒲鉾など。

子どもたちと一緒に見て選び、三が日中に食べ切れる量を買うようにしています。


台所に立って私がおせちの一品として毎年作っているのは煮しめくらいで、合わせて作っているお雑煮のお汁は主人の担当です。

これは、いつもの食事の準備とほとんど変わりありません。

普段と違うのは、飾り切りのちょっとしたひと手間のみ。

難しくない飾り切りをちょこっとやっておくだけで一気に華やかになります。

おせちの食材にはそれぞれ五穀豊穣や無病息災、子孫繁栄などの願いがこめれているといいますが、

私が毎年作る煮しめには、様々な食材を一緒のお鍋で煮ることから

「家族が仲良く一緒に結ばれ末長く繁栄しますように」

という願いがこめられているんだそうです。

まさに私の願いそのものだなと感じています。

 

あれこれ用意しなくても今の我が家にはこれで十分。

あとはお気に入りの松屋漆器店さんの重箱に詰め込んだら、もう立派なお正月です。


普段の家事や育児など日々の暮らしにも共通していますが、明日の自分が笑っていられるように常に程よく手を抜きがんばらないこと。

 

家族そろって笑顔で新年を迎えるためにも、ちゃんとやらなくちゃという余計な意気込みは捨てていいのかもと気付いてからはお正月準備もぐんと楽に感じられるようになりました。

 

一年に一度きりのおせち作りを気負わずに自分らしく楽しむことで、新しい年の始まりが穏やかで晴れやかな、気持ちの良いスタートを切れるような気がしています。

 

家族が健やかな日々を過ごせるようにと想いを込め、
来年再来年とその先も、私なりのおせち作りを楽しんでいけたらと思います。

 



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