[作家] 大久保 公太郎

”あつらえ”を大切にし、時には購入者の声を聞きながら暮らしの小木工を作る手道具作家 大久保さんのバックグラウンドとは。

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調理器具を作り始めたきっかけ

始めは妻の自宅用にへらを作りました。

その木べらをマルシェに出しているうちに木べらマニアの方と出会います。

マニアのかたのリアルな感想をいただけるようになり、それにこたえるように南京カンナで削り始めました。

そうやって自分ができることをゆっくりとやってきた中で、形にするために必要なことに取り組んできて

縁が結ばれて今があると思っています。

独立してからしばらくは建具なども手掛けていましたが、2015年に小木工にきめたことにより、作家としての今があります。

02

木は対人最適マテリアル

木は常に主役じゃないけど歴史の中に存在してきました。

日本人は昔から木の箸と碗を使い続けています。

木はお直しができます。
実際わたしの木べらは削り直しもお受けしているのですが、使い込んでくださった木べらには人柄が表れています。

この人は油を使った料理が得意なんだなぁ、ここは当たる癖がるんだな、とか。
最近は親子2代で受け継いで(正確には娘さんの嫁入り道具として持っていかれたそうですが。笑)使ってくださるかたもいらっしゃるんです。
自然素材のものを作家と購入者とともに楽しみながら暮らしていけたらいいですね。

03

あつらえを大切にする

先輩方からは昔の良いものを見ろ、自然を見ろと言われるのですが、過去のその背景を知るうちに

人が作るものは“あつらえ”が始まりなんだなと思うことがよくありました。

誰かの求めに応じてちょっと器用な人や作るのが上手な人が頼まれて作る。

それが好評だったらその頼んだ人の周りからも求められたりとか。

そうやって繰り返し作られてきたものが今もカタチに残ってきています。
それは一人の人の場合だけでなく、産地や国特有のものとして一般化して作られてきた場合もあります。

04

人生2生チャレンジ

昔の人は40~50歳の人生だったと考えると、今は人生100年時代。

わたしはその人たちの2生分削れるんじゃないかなと、1馬力でどれくらい作れるのか数年かけて試してきました。1か月で、1年で、いったいどれだけ作れるのか。

それを《人生2生チャレンジ》と呼んでいます。

できあがる木べらは100本目と1000本目では違います。道具として研ぎ澄まされていく感覚です。

2生分の“あつらえ”サイクルが回った時の木べらを、自分で目撃できたら面白いなと。

今の日本では専業でモノ作りに集中できるし、ハンドメイドのマーケットもある。
海外の人からうらやましがられる日本のそれは途絶えかけながらも常に進化し続けて、なくならなかったのが大きいなと思います。

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大久保 公太郎(@koutarou_ohkubo

長野県松本市出身

2007年 京都建具屋での修行のち

2011年 上松技術専門校

2012年 「大久保ハウス木工舎」として長野県で独立

松屋銀座「銀座手仕事直売所」出展

日本全国のほかに、アメリカ・台湾にて個展開催

【大久保 公太郎】木のへら(桜)
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